2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14771274
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
恒枝 宏史 富山医科薬科大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20332661)
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Keywords | ニコチン受容体 / 血管新生 / 内皮細胞 / 増殖 / 大脳皮質 / 骨格筋 / ニコチン / アセチルコリン |
Research Abstract |
生体内において血管は、虚血あるいは炎症などの影響を受けると、新たな血管を生み出すことが知られている。脳内においても多くの血管新生が確認されているが、未だそのメカニズムは解明されていない。そこで本研究では、血管新生機構の初期段階に相当する内皮細胞の増殖を指標として、ニコチン受容体(nAChR)の機能的役割を検討した。 1.ウシ大脳皮質毛細血管内皮細胞(CMVEC)において、nAChRのα3およびα7サブユニットが発現していることをRT-PCR法により明らかにした。ニコチン(0.1nM-1μM)存在下でウシCMVECを培養すると、細胞増殖活性が有意に増大した。またこの作用はnAChRアンタゴニストのdihydro-β-erythroidine (1μM,α3β2およびα4β2-nAChR選択型)およびmethyllycaconitine (1nM,α7-nAChR選択型)によって抑制された。 2.非神経細胞におけるnAChRの機能を比較検討する目的で、糖尿病性神経症のモデルであるマウスの除神経筋標本(ヒラメ筋)を用いた。RT-PCRを行った結果、α7サブユニットの発現量が除神経により増大することを見出した。さらにα7-nAChRアゴニストのコリン(10mM)を投与したときの反応を電気生理学的に測定することで、α7-nAChRを介する脱分極反応を初めて検出することに成功した。 本研究により、CMVECにおいてα3およびα7サブユニットを含むnAChRには、細胞増殖能を増大させる役割があることを証明できた。また除神経筋を用いた検討結果から、CMVECにおいても糖尿病状態ではnAChRの活性が変化する可能性が示唆された。このように、脳内のニコチン受容体活性を制御することで、血管新生の調節が可能になり、多くの脳虚血性疾患を改善できる可能性を示すことができた。
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[Publications] Tsuneki, H., Salas, R., Dani, J.A.: "Mouse muscle denervation increases expression of an α7 nicotinic receptor with unusual pharmacology"J. Physiol. (Lond.). 547. 169-179 (2003)