2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞増殖因子の細胞運動性亢進作用発現におけるERK-MAPキナーゼの役割
Project/Area Number |
14771284
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
谷村 進 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90343342)
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Keywords | ERK-MAPキナーゼ / 肝細胞増殖因子 / Matrix metalloproteinase / 細胞運動 |
Research Abstract |
前年度までの解析より、肝細胞増殖因子による細胞運動性亢進作用の発現には、ERK-MAPキナーゼの活性化を介したMatrix metalloproteinase(MMP)-9の発現誘導が重要であることを明らかにした。そこで本年度は細胞運動(浸潤)におけるERK-MAPキナーゼ活性化の具体的な役割を明かにする目的で、ERK-MAPキナーゼ活性化の程度が異なるヒト癌細胞株を用いて解析を進めた。 ERK-MAPキナーゼが恒常的に活性化されている癌細胞(Type III)としてHT1080(ヒト繊維芽肉腫)、KT006(横紋筋肉腫)、及びT24細胞(膀胱癌)を、活性化が認められない癌細胞,(Type O)としてLNCaP(前立腺癌)、Colo320(大腸癌)、MCF7細胞(乳癌)を選択した。Matrigel invasion assayによって各癌細胞の浸潤能を比較検討したところ、Type III癌細胞は高浸潤活性を示し、それはPD184352(MEK特異的阻害剤)処理よってほぼ完全に抑制された。一方、Type O癌細胞ではほとんど浸潤活性が認められなかった。次に、ERK-MAPキナーゼによって発現が制御され(プロモーター領域にAP-1サイト等が存在する)、細胞の運動(浸潤)に関与することが報告されているMMP-3/-9/-14、及びCD44に着目して解析を進めた。その結果、Type Oと比較してType III癌細胞ではMMP-3/9/14、及びCD44が高発現しており、それはPD184352処理によって抑制されることを見いだした。以上の結果は、ERK-MAPキナーゼが上記各因子の発現誘導を介して細胞運動(浸潤)を促進することを示しており、ERK-MAPキナーゼ系の選択的遮断が癌細胞の浸潤転移抑制に繋がる可能を示唆しているものと考えられる。
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Research Products
(1 results)