2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14771293
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
野部 浩司 昭和大学, 薬学部, 助手 (30276612)
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Keywords | 創傷治癒 / コラーゲン / 線維芽細胞 / 非筋収縮 |
Research Abstract |
皮膚表面の外傷・熱傷や外科的手術時の身体内外部における傷の修復は、一般に創傷治癒課程と呼ばれ、様々なステップによって構成されている。この中で線維芽細胞の収縮反応は治癒の進行を左右する重要な因子と考えられている。そのため、線維芽細胞の収縮が十分に進行しないと治癒が遅れ、逆に過剰に進行すると瘢痕やケロイドなどの組織変形や機能不全を引き起こす。これらのことから、線維芽細胞の収縮をコントロールすることは、創傷治癒全体をコントロールすることであり、速やかで完全な傷の修復を導くために極めて重要であると考えられる。 平成15年度の本研究では、前年度に構築した微量張力測定装置を用いて、三次元培養線維芽細胞モデル(Fibroblast fiber)における収縮誘発因子やその細胞内メカニズムを検討した。その結果、血清刺激が効率的に線維芽細胞に張力上昇を引き起こすことを見いだし、この上昇が単なる形態変化ではなく、可逆性・反復性を有した収縮反応であることを初めて確認した。さらに、細胞外のカルシウムを除去した条件下においても血清誘発のFibroblast fiber収縮反応が認められることから、一般的な筋細胞の収縮反応では不可欠因子とされる細胞内カルシウム濃度上昇がほとんど線維芽細胞収縮に寄与していないことを見いだした。さらに、ミオシンリン酸化を増加させるmyosin light chain kinaseやcalmodulin kinase、protein kinase Cの阻害薬が血清誘発のFibroblast fiber収縮反応にほとんど影響を与えなかったことから、創傷部位において線維芽細胞が独自の細胞内収縮機構を介して張力を発生している可能性を見いだした。 現在、カルシウム非依存的な収縮機構の関与に関して検討を行っている。
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[Publications] Nobe H., Nobe K., Fazal F., de Lanerolle P., Paul R.J.: "Rho kinase mediates serum-induced contractions in fibroblast fibers independent of myosin LC_<20> phosphorylation."American Journal of Physiology. 284. C599-C606 (2003)
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[Publications] Nobe H., Nobe K., Paul R.J.: "Fibroblast fiber contraction : Role of C- and Rho kinase activation by thromboxane A_2."American Journal of Physiology. 285. C1141-C1419 (2003)