2004 Fiscal Year Annual Research Report
創傷治癒における線維芽細胞収縮機構の解明〜三次元培養細胞モデルを用いた新しいアプローチによる検討〜
Project/Area Number |
14771293
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
野部 浩司 昭和大学, 薬学部, 助手 (30276612)
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Keywords | 創傷治癒 / 線維芽細胞 / コラーゲン |
Research Abstract |
皮膚表面の外傷・熱傷や外科的手術時の身体内外部における傷の修復は、一般に創傷治癒課程と呼ばれ、様々なステップによって構成されている。この中で線維芽細胞の収縮反応は治癒の進行を左右する重要な因子と考えられている。そのため、線維芽細胞の収縮が十分に進行しないと治癒が遅れ、逆に過剰に進行すると瘢痕やケロイドなどの組織変形や機能不全を引き起こす。これらのことから、線維芽細胞の収縮をコントロールすることは、創傷治癒全体をコントロールすることであり、速やかで完全な傷の修復を導くために極めて重要であると考えられる。 平成16年度の本研究では、専用の微量張力測定装置を用いて、三次元培養線維芽細胞モデル(Fibroblast fiber)における収縮誘発因子やその細胞内メカニズムを検討した。その結果、血清刺激誘発の線維芽細胞収縮反応は、細胞内のrho kinaseの活性変動に強く依存していることを見いだした。このrho kinase依存的な収縮反応時におて細胞内のアクチンストレスファイバー(ASF)の構築が有意に促進しており、rho kinase活性化がASF構築促進を介して線維芽細胞収縮を引き起こしていることが示唆された。また、線維芽細胞内のphosphorylated-myosin light chain(MLC)量を測定したところ、血清刺激時には大きな変化を示さなかったことから、筋収縮などで一般に報告されているrho kinaseによるMLC phosphatase阻害を介したphosphorylated-MLC蓄積による収縮促進反応は、線維芽細胞収縮機構にはほとんど寄与しないことが明らかとなった。以上、本研究で線維芽細胞収縮は、rho kinaseによるASF構築を介する細胞骨格系の変化により引き起こされていることが見いだされた。
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