2002 Fiscal Year Annual Research Report
セレノメチオニン代謝に関与するα,γ-位脱離酵素の精製ならびに役割の解明
Project/Area Number |
14771324
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
奥野 智史 摂南大学, 薬学部, 助手 (30288972)
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Keywords | マウス / 代謝 / 肝臓 / セレノメチオニン / α,γ-位脱離反応 / 酵素 / 精製 |
Research Abstract |
マウス肝臓に存在するセレノメチオニンのα,γ-位脱離反応を触媒する酵素(以下、セレノメチオニンγ-リアーゼとする)の単離、精製を試みた。まず、セレノメチオニンγ-リアーゼの細胞内分布を明らかにするためにマウス肝臓の細胞成分分画を行ったところ、主に可溶性画分に酵素活性が認められた。一方、核画分、ミトコンドリア画分およびミクロソーム画分ではほとんど活性が認められなかった。これらのことから、セレノメチオニンγ-リアーゼは肝臓の可溶性画分に局在していることが明らかとなった。そこで、一般的な動物組織からの酵素精製手順に従って硫安分画、Phenyl Sepharoseカラムを用いた疎水性クロマトグラフィー、Super Qカラムを用いたTOYOPEAL陰イオン交換クロマトグラフイー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフイーおよび液体等電点電気泳動で順次酵素の精製を行った。このとき最終ステップである等電点電気泳動で得られた画分の比活性は可溶性画分に比べて約120倍にまで上昇しており、カラムの種類あるいは精製手順などを変更した他の分離条件の場合と比べて良好な結果であった。Superose 12カラムを用いたゲルクロマトグラフィーによって酵素の分子量は約15万であることが示唆された。一方、等電点電気泳動で得られた活性画分についてSDS-PAGEを行った結果、67kDaおよび37kDa付近にタンパク質のバンドが認められた。このことから、セレノメチオニンγ-リアーゼは複数のサブユニットで形成されている可能性が考えられた。しかしながら、SDS-PAGEで2つのタンパク質由来のバンドが検出されたことから、本酵素の物理学的性状および酵素学的性状を明らかにするためには精製方法をさらに改良する必要があることが考えられた。
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