2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞マイクロレオロジー測定装置を用いた静脈性血栓症の新規診断システムの開発
Project/Area Number |
14771349
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鎌田 春彦 三重大学, 医学部, 助手 (00324509)
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Keywords | 血液流動性 / 組織因子 / 炎症 / LPS / 細胞マイクロレオロジー装置 / 抗凝固薬 |
Research Abstract |
エコノミークラス症候群などで知られる深部静脈血栓症や肺塞栓症などの原因の一部は、血液凝固関連因子の先天性異常症によることが明らかになっているが、患者の多くは後天性要因である長期臥床や肥満、運動不足などによる血行障害(血流の低下)が原因になると主に考えられている。そこで本研究では、最近開発された細胞マイクロレオロジー測定装置(MC-FAN)を用いて、微小血管での血流動態と血球細胞(白血球、血小板など)の活性化による血液凝固の活性化との関係を明らかにし、血流低下に起因すると推定されている静脈性血栓症に対する新規な検査診断法を確立するとともに、その治療薬の開発に向けた基礎的な研究を行った。細菌感染などにより白血球(特に単核球)が活性化され、細胞表面に凝固活性化因子の組織因子(TF)が発現されることが示唆されている。そこでまず、LPS、TNFα等の既知のTF発現誘導因子で活性化した末梢血中の単核球を全血中に添加し、血流に及ぼす活性化白血球の影響をMC-FANにて検討した。クエン酸採血した末梢血をLPSおよびTNFαで刺激し、全血の血液流動性を測定した結果、添加した刺激物質の濃度依存的な血液流動性の低下が観察された。また末梢血より単離した末梢血単核球の細胞表面上のTF活性をクロモジェニックアッセイにて解析した結果、刺激物質の濃度依存的なTF発現量の上昇が観察された。この血液流動性の低下は、抗TF活性中和抗体により、完全に回復した。また、LPS刺激に伴う血液凝固の活性化を、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)の形成を指標に評価したところ、添加したLPSの濃度依存的なTATの産生の上昇が観察された。以上の結果から、血液流動性は、TF発現に伴う血液凝固の活性化に依存しており、ヘパリンなどの抗凝固薬が血流低下の改善に有効である可能性が示唆された。現在、各種抗凝固物質の血液流動性に及ぼす影響を検討する一方、血小板凝集の及ぼす血液流動性への影響を解析している。
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[Publications] Kamada H(8人略, 1番目): "Synthesis of a poly(vinylpyrrolidone-co-dimethyl maleic anhydride) co-polymer and its application for renal drug targeting"Nat Biotechnol. 21・4. 399-404 (2003)
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[Publications] Kamada H(10人略, 4番目): "Preparation and biological activities of a bivalent poly(ethylene glycol) hybrid containing an active site and its synergistic site of fibronectin"Chem Pharm Bull (Tokyo). 50・9. 1229-1232 (2002)