2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮プロテインCレセプターの発現を指標とした乳癌スクリーニング法の開発
Project/Area Number |
14771352
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
常吉 直子 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (80336114)
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Keywords | 血管内皮 / レセプター / プロテインC / 乳癌 |
Research Abstract |
日本人の乳癌罹患率、死亡率は増加しつつあるが、腫瘍マーカーとしてスクリーニングに重要な役割を果たすものは皆無である。最近我々は血管内皮プロテインCレセプター(EPCR)が乳癌の腫瘍組織にて高率に発現していることを見い出した。EPCRの発現は本来血管内皮に限局しているが、いくつかの癌細胞株でも発現が認められた。またEPCRの一部はプロテアーゼによって可溶型になることが報告されている。従って、EPCRが高頻度に発現している乳癌では、血中の可溶型EPCRが診断に有用となる可能性がある。本研究では、まず癌患者での血中の可溶型EPCRの測定系を確立することを目的とする。今年度は、我々が作成した抗EPCR抗体を用いて、血中可溶型EPCRを検出するsandwich ELISA法が確立できた。そこで東京都立駒込病院の病理・乳腺グループと共同研究し、実際の乳癌患者54例での血清可溶型EPCRを測定したが、正常の場合と大きな差は認められなかった。しかし同時に検討していた乳癌以外の癌では、胆嚢癌で高値を示す症例が認められた。胆嚢癌は特異的な腫瘍マーカーは無く、早期発見が非常に困難であり、今後さらに症例数を増加して検討してみる予定である。このような癌細胞に発現しているEPCRは、抗凝固機能とは異なり癌化や癌の進展への関与が考えられる。最近、活性化プロテインC(APC)がマトリックス・メタロプロテアーゼ-2(MMP-2)を活性化することが報告され、癌細胞上のEPCRがAPCを介してMMP-2を活性化し、癌の浸潤、転移を導いている可能性がある。今後は、EPCRの存在下でAPCのMMP-2の活性化が促進されるかどうか、またEPCR陽性の乳癌細胞株のSCIDマウスでの腫瘍形成能にEPCRの機能阻止抗体の投与が影響を与えるかどうかなどを検討し、腫瘍細胞でのEPCRの機能を確認していきたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsuneyoshi N: "Expression and anticoagulant function of the endothelial cell protein C receptor (EPOR) in cancer cell lines"Thromb.Haermost.. 895. 356-361 (2001)
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[Publications] 常吉直子: "血管内皮プロテインCレセプター(EPCR)とトロンボモジュリン(TM)の会合"生化学. 74. 215 (2002)