2002 Fiscal Year Annual Research Report
高コリンエステラーゼ(ChE)血症におけるC5アノーマリーバンドの成因について
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14771356
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
秋月 摂子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10202532)
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Keywords | 高コリンエステラーゼ血症 / C5変異 / 遺伝子検索 |
Research Abstract |
当院外来患者よりネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症、脂肪肝、糖尿病等の血清コリンエステラーゼ(ChE)[当院基準値:3200〜6800 IU/L]高値を呈する基礎疾患を有さない患者を対象とした。 これらの症例についてポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)法にてC5のアノーマリーバンドの有無を確認し、C5バンドを有する高ChE血症(C5+)を3例,C5バンドを有さない高ChE血症(C5-)を1例見出した。 ChE遺伝子についてDNA Sequencing kit BigDye terminatiorCycle Sequencing Ready reactionを用い、ABI PRISM TM377シークエンサーによりダイレクトシークエンスを実施した。 これらの症例では構造遺伝子(Exon2〜Exon4)領域に於いて共通の変異を見出すことはなかった。 さらに調節遺伝子を含むExon1の領域について、新たにプライマーを設計し、ダイレクトシークエンスを実施した。その結果、Exon1に於いても各症例に共通の変異を認めることはなかった。 これまでの結果より、我々は従来、遺伝子変異とされていた原因不明の高ChE血症はChE蛋白に関与する遺伝子の変異を伴わないものと考えている。これはMasson Pら(FEBS 262:115-118,1990)が考察しているC5変異が遺伝子によるものではないとの報告と矛盾しない。 次年度はこれらの症例についてChE酵素蛋白とその他の生体内物質との関連についての検討を実施する予定である。
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