2002 Fiscal Year Annual Research Report
医療事故防止における患者・受益者側からみた医療紛争の認識に関する研究
Project/Area Number |
14771361
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
布施 淳子 山形大学, 医学部, 助教授 (20261711)
|
Keywords | 医療事故防止 / 医療不信 / 医療者の対応 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究は、医療事故紛争を防止するために医療サービスを受ける地域住民に焦点をあて患者(受益者)の医療紛争に対する捉え方について、軽費老人ホーム入所者とデーサービス利用者41名(平均年齢±SD:81.14±5.82歳、性別:男性(7名)、女性(34名))を対象に、医療に対する不信感につながる経験について、半構造化面接による質的調査を実施した。調査内容は、不信感につながる体験、不愉快な体験、看護婦・医師の対応、名前間違い・薬間違い・不明瞭な説明を受けた体験、医療サービスへの改善を希望する点などである。 KJ法を用いた分析を行った結果、医療不信につながる経験はほとんど認められなかった。しかし、不信感を抱くまではいかないが、病院において不愉快な体験をしたものは41.47%であった。その内容は、医療者の対応がきつい、指導なのか怒られているのかわからない、融通が利かない、対応が一方的、主治医の診察が少ない、いい加減な診察、待ち時間が長い、医療者が多忙すぎる、適切な介助でないなどが抽出された。看護婦・医師の対応では19.52%の気になる対応が認められた。名前の間違いは9.76%、薬間違いは7.32%、不明瞭な説明は29.27%であった。医療サービスへの改善に関しては41.46%のものがなんらかの改善点を訴えていた。具体的には、待ち時間の短縮、病院までの交通手段、院内処方の再開、医療者のゆとり、患者への対応(接遇)、病院ボランティアの増員などが改善を希望する内容であった。 本研究では、明確な医療不信につながる内容は抽出されず、ほとんどの対象が総合病院に対して満足しているということであった。しかし、外来受診や入院生活において不愉快な思いを体験したものは半数弱が認められ、その内容は、医療者の対応について訴えるものが多く、病院の構造などのハード面に対する訴えは少ないことがうかがえた。
|