2002 Fiscal Year Annual Research Report
ドメスティック・バイオレンスに対する地域での看護支援のあり方-D.Vの早期発見、早期介入を目指して-
Project/Area Number |
14771364
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
長谷川 美香 福井医科大学, 医学部, 講師 (90266669)
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Keywords | 暴力 / 配偶者 / パートナー / 原家族内の暴力体験 |
Research Abstract |
【目的】男女それぞれに対し、配偶者・パートナーから暴力を受けた、行った体験の実態を把握し、暴力に関する認識その他の要因との関連を明らかにする。 【方法】福井県A市の20〜69歳の男女の内、住民基本台帳より10歳年齢階級ごとに各100名を無作為抽出し計1,000名を対象に、郵送法による自記式の質問紙調査を行った。調査内容は、配偶者・パートナーから受けた、および行った暴力体験(身体的、性的、社会・経済的、精神的暴力の4種類計24項目)、暴力に関する認識(体験と同一項目)、原家族内の暴力体験(両親間、および親からの暴力体験)等であった。暴力体験と認識その他の要因との関連は、Fisherの直接確率法で検定した。 【結果】研究参加に同意し回答したのは351人、有効回答296人であり、男性127人(42.9%)で、各年齢階級はほぼ20%であった。 1.A市の暴力体験者の割合と暴力に関する認識は、先行研究に比べ低かった。何らかの暴力を受けた者は46.1%、行なった者は43.1%で、男女間に差があるとは言えなかったが、行なった者は男性が有意に多かった。 2.両親間の暴力、あるいは親からの暴力を体験した者はしない者に比べ、配偶者・パートナーから暴力を受けた、あるいは行なった者が有意に多かった。 3.暴力を受けた、行った体験のある者は非体験者より、いずれも暴力に関する認識が有意に低かった。 【考察】原家族内で暴力を体験した者は、暴力を男女間、親子間のコミュニケーション手段や愛情表現と学習してしまう可能性があり、成長後の配偶者・パートナーとの関係で、原家族内の暴力体験を再演、再犠牲化することが考えられる。また、暴力の被害者は暴力の責任は自分にあり、加害者は被害者に原因があると主張することから、暴力体験のある者は自分が受けた、あるいは行った行為を暴力ではないと認識している可能性が考えられる。
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