2002 Fiscal Year Annual Research Report
小児生体肝移植後のQOL〜社会適応における精神的援助について〜
Project/Area Number |
14771365
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三浦 清世美 名古屋大学, 医学部, 助手 (20332695)
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Keywords | 小児 / 生体肝移植 / QOL / 移植後の心理社会的問題 |
Research Abstract |
I.生体臓器移植医療の現状 学会や研究会、患者会に参加し、グループディスカッションを重ねた結果、以下のような知見を得た。 移植後のQOLを高める医療者の役割として、(1)術前および術後、長期にわたり継続した移植患者の医学的管理、(2)移植全過程の円滑な調整、(3)移植医療を選択する患者の意思の尊重、(4)移植することにより生じる心理社会的問題点への援助が必要である。特に、同時に家族内にドナーとレシピエントを抱える小児においては、ノンコンプライアンスや生体ドナーがうつ状態に陥るといった報告も多く、移植後に家族関係の破綻をきたさないように、術前からの積極的な介入と援助が必要であることが示唆された。 II.生体部分肝移植後の家族への援助 生体部分肝移植後、子どもを亡くしたドナーである母親が、その過程でどのような体験をしてきたのかを記述し、生体部分肝移植を受けた子どもとその家族への看護援助のあり方について検討することを目的に平成14年6月に調査を行った。対象は、胆道閉鎖症の子どもを亡くした母親(生体部分肝移植のドナー)1名である。方法は口頭により研究の趣旨を説明し、半構成的面接を実施した。その結果、以下のことが明らかとなった。 1.移植前にどのような情報や知識を得て、どのように受け止めていたかということが、移植後に重要な意味を持つことが示唆された。 2.自分の肝臓が子どもを苦しめるという生体臓器移植特有の自責の念をもつ可能性があることが示唆され、家族の受けとめ方を確認する作業と情緒的支援を継続する必要性がある。 3.移植前からの継続的な関わりの重要性が示唆され、移植コーディネーターによる長期的なフォローを充実させること、プライマリーNsと移植コーディネーターとの連携や病棟Nsと外来Nsとの連携を円滑にする必要性がある。
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Research Products
(1 results)