2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における結核再燃の実態調査及び再燃予防対策の検討
Project/Area Number |
14771369
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白井 文恵 大阪大学, 医学部, 助手 (50283776)
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Keywords | 単球 / 肺結核症患者 / BCG菌 / 活性窒素 |
Research Abstract |
結核菌は、単球/MΦを増殖の場としている。結核が発病するか否かは単球/MΦの殺菌能力、叉は、結核菌増殖阻止能力が直接関係していると考えられる。そこで、活動性肺結核症患者の末梢血単球の殺菌能を測定し、結核発病予防への知見を得ることを目的とした。 肺結核症にて入院中の患者と同年代の健康成人を対象とした。単球は、末梢血より、RosettSep^<TM>試薬により分画精製した。単球の殺菌能は、活性窒素(NO)産生量、BCG菌(東京型)増殖阻止能の測定により行った。NOの測定は、NO2-/NO3-を蛍光発光法により測定した。単球の活性化には-γを用いた。単球内生残BCG菌数の測定は、単球にBCG菌を食菌させ、食菌されなかったBCG菌をkanamycinにより殺菌し5日後にサポニンで単球を破壊し、単球内生残BCG菌を、alamarBlueによる還元酵素の測定を基本とする蛍光発光法こより測定した。 更に、単球に発現するIFN-γreseptorのmRNAをRT-PCRにより検出した。その結果、結核患者の単球は、IFN-γで活性化して産生するNO量が健康成人のそれと比較し有意に低いことが明らかとなった。また、単球にBCG菌を食菌させ、細胞内生残数を測定したところ、健康成人の単球はIFN-γを加え活性化させることで単球内のBCG菌の増殖を阻止したが、肺結核患者の単球は、IFN-γを添加しても菌の減少はほとんどなく、増殖阻止がみられなかった。更に、IFN-γreceptorのmRNAを検出したところ、健康成人の単球のみならず、結核患者の単球にもその存在が確認された。以上より、活動性肺結核患者の単球/MΦは、IFN-γに対する応答性が低下しているため活性化が起こらず、その結果NO産生量が低く、単球内に存在する結核菌の殺菌能力を下げ、結核菌の増殖を許し、結核発病に至らしめている可能性が示唆された。
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