2002 Fiscal Year Annual Research Report
分裂病者の家族を生活者として捉えた保健婦の援助の実際
Project/Area Number |
14771375
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
工藤 康子 札幌医科大学, 保健医療学部, 助手 (80336411)
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Keywords | 保健婦 / 地域看護 / 家族 / 精神障害 / 地域精神保健活動 |
Research Abstract |
統合失調症者はいまだ治療法の未確立であり、我が国の精神医療における入院、通院者の最も多くの割合を占める疾患である。この統合失調症者を抱える家族は、社会的偏見や長期に渡るといった疾患の特異性などから多大なストレスを抱えた生活を送っており、子供が病に罹患した事実を受容できるようになるまでの心理的な経過は長期的かつ複雑であるとされている。この家族への援助として、家族同士による支え合いが有効な一つとされているが、家族の辿る心理的変化が複雑である故に、家族を患者の援助者としてのみでなく、生活者として捉えた援助が重要であると考える。 地域の住民を援助する者は、的確に家族の状況をアセスメントし、家族会を必要とする家族自らがその利用に向けて動き出せるよう、的確な時期になおかつ効果的な介入を行う役割りが重要であると考える。援助職の中でも地域において精神保健活動を行うことが役割りの一つである保健師は、これまで訪問のみならず家族学習会等にも携わってきたことからも、的確に家族の状況を判断し、援助を行ってきたと考えられる。 このため今回は、地域において精神保健の第一線機関である保健所保健婦が統合失調症者を抱える家族を家族会(今回は、心理教室、家族学習会家族の集い、家族会の全てを含めることとした)につなげた保健婦の援助の実際について明らかにすることとした。データは北海道における道立保健所に11年以上勤務する熟練保健婦9名から半構成的面接にて収集した。現在データの分析を進めている。 現在分析中の一部データからは、援助を行う必要のある対象者の捉えかた、具体的援助方法の工夫、家族が家族会につながる要因、介入を行う時期などの特徴が明らかになった。今後は、今年度中に残り一例のデータ収集を行うとともに、更にデータ分析を進めていく。
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