2002 Fiscal Year Annual Research Report
救急外来受診患者の家族の不安の影響要因に関する研究
Project/Area Number |
14771418
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
野中 千普美 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (00336124)
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Keywords | 救急外来 / 患者家族 / 不安 / 家族のニーズ |
Research Abstract |
本研究は、救急外来を受診した患者の家族の不安に影響する要因を明らかにすることを目的としている。今回、平成12年度修士論文結果の信頼性・妥当性を検証する目的で調査対象施設を拡大し、初期〜3次救急患者を受け入れている民間総合病院救急外来で、患者に付き添ってきた家族56名を対象に調査を行った。 結果、56名中19名が男性、37名が女性であった。家族の平均年齢は39.7±10.7。家族の不安はSTAI(State-Trait Anxiety Inventory)の状態不安で測定した。不安の平均値は51.5±10.0で、患者の診察や治療を待つ家族の不安は高い状態にあった。また、救急外来受診後入院となった患者の家族のほうが、帰宅した患者の家族よりも有意に不安が高かった。平成12年度の対象者173名と本調査における対象者56名を合わせて分析を行った結果も同様であった。続いて、重回帰分析(N=229)を行った結果、平成12年度修士論文で明らかになった家族の不安の影響要因と同様に「緊急度が高いこと」「家族の緊急度認識と実際の患者の緊急度との不一致」「外傷、脳神経・循環器・呼吸器系症状を有する患者の家族」「初診であること」「待ち時間」「診察室の中の状況」「家族のニーズ」「不安傾向が強い家族」が有意な変数であり、不安の38.7%が説明された。調査施設を拡大し、分析を加えた結果、信頼性、妥当性が検証された。 また、家族のほとんどが「分かりやすい言葉での説明」が必要と答え、続いて「治療・処置についての説明」「検査結果についての説明」「予後・今後の見通しの説明」が必要であると、説明に関するニーズが高かった。一方、「不安やつらい思いを聞いてもらえる」という家族への情緒的支援に関するニーズ(49.8%)や「疲労や健康」といった家族自身の身体面への配慮に関するニーズ(35.8%)を持つ家族もいた。 このように、救急外来を受診する患者はもちろんのこと、家族にも大きな心理的影響を及ぼしているため、引き続き多側面から考察を加えていく必要がある。更に今後、救急外来を受診した患者/家族に満足度調査を行うことによって、家族を含めた患者への救急医療サービスについて検討を重ねていく予定である。
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