2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14780025
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
後藤 勝正 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70239961)
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Keywords | ストレス / 増殖 / 分化 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
老化に伴う筋力と骨塩量の低下を防止するための安全かつ効率的なストレス負荷で筋力増大をもたらす新しいトレーニング方法の開発に関して、筋力トレーニングを骨格筋に対するストレスと捉え、骨格筋に対する新しいストレスとして温熱刺激に着目した。そこで本研究では、温熱刺激による(1)骨格筋細胞の増量と増殖とその作用機序、(2)温熱刺激による筋トレーニング効果の促進、ならびに(3)温熱刺激による筋萎縮からの回復促進、についてし、新しいストレス負荷による骨格筋の肥大の可能性を探ることを目的とする。本研究は、2年計画で実施される。本年度はその1年目である。実験モデルとして培養骨格筋細胞ならびにWistar系雄性ラット(生後12週齢)を用い、実験的萎縮筋モデル(後肢懸垂モデル、前十字靱帯損傷モデル)を採用した。培養骨格筋細胞の実験ではL6(ラット)およびC2C12(マウス)を用いた。培養骨格筋細胞に対して温熱刺激(41℃、60分)、機械的伸展刺激ならびに両者を組み合わせて加えることで、骨格筋細胞の増殖や肥大に対する温熱刺激の効果が両細胞で確認された。したがって、温熱刺激による骨格筋細胞の増量は種に依存する現象ではないと考えられた。ラットを用いた実験では、温熱刺激のみにより骨格筋肥大が促進するか検討し、41℃の温熱環境に60分間暴露することで筋肥大が引き起こされた。また、後肢懸垂モデルを用いひらめ筋を萎縮させた後、後肢懸垂を解除し通常飼育をする前に温熱刺激を加えることで、萎縮からの回復過程が促進した。さらに、前十字靱帯損傷モデルでは、萎縮した筋ではストレスタンパク質の発現増加が認められ、温熱刺激による筋萎縮抑制の可能性が示唆された。以上より、温熱刺激が筋タンパク増量効果をもたらすことが明らかになり、今後その作用機序を解明するために、細胞内シグナル伝達系のタンパク質の評価を行う。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Katsumasa Yamashita-Goto: "Heat stress facilitates stretch-induced hypertrophy of cultured muscle cells"Journal of Gravitational Physiology. 9・1. 145-146 (2002)
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[Publications] Katsumasa Goto: "Profiles of connectine (titin) in atrophied soleus muscle induced by unloading of rats"Journal of Applied Physiology. 94・3. 897-902 (2003)
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[Publications] Ryoko Okuyama: "Expression of heat shock protein 72 in rat quadriceps muscles following anterior cruciate ligament resection"Journal of Orthopaedic Science. 8(in press). (2003)