2002 Fiscal Year Annual Research Report
スイムキャップが及ぼす水泳時の体温調節反応と泳パフォーマンスへの影響
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14780037
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Research Institution | Beppu Mizobe Gakuen College |
Principal Investigator |
松波 勝 別府女子短期大学, 家政学部, 講師 (80258566)
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Keywords | スイムキャップ / 頭部表面温度 / 鼓膜温 / 口腔温 / thermal sensation |
Research Abstract |
本研究では、「防水性がある」、「防水性がない」というスイムキャップの特性が、水泳中の体温調節反応や知覚的応答に与える影響を比較検討することを目的とした。男子大学競泳選手10名を被験者とし、市販されている防水性のあるシリコンキャップ(SC)及び防水性のないメッシュキャップ(MC)の2条件による最大下の20分間泳を水温28.8±0.4℃の25m屋内プールで実施した。被験者は、温度センサーを前額面(Tfh)及び後頭部(Toc)に着け、運動中の頭部表面温度の変化を1分毎に記録した。深部温として鼓膜温(Tty)及び口腔温(Toral)をテスト泳前後に測定した。心拍数(HR)を測定するためにHRモニターを胸部に取り付け、1分毎に記録した。また、体幹と頭部の温度感覚(TSB及びTSH)及び主観的運動強度(RPE)の測定をテスト泳終了直後に行った。 Tfhは、SC、MCともに運動開始5分までは低下したが、その後、運動終了まで上昇し続けた。一方、TocはSCにおいてテスト泳中上昇したが、MCでは、Tfhの上昇にもかかわらず、水温まで低下した。運動終了後のTfhは、SCが33.70±0.82℃、MCが32.45±0.69℃であった。また、TocはSCが30.85±1.18℃、MCが28.95±0.55℃であった。いずれにおいてもSCの方がMCと比較して有意に高い値を示した(p<0.05)。運動終了後のToralとTtyについては、SCとMCにおいて有意な差は見られなかった。しかしながら、MCのTtyは運動前後において有意な低下が見られた(-0.32±0.28℃,p<0.05)。TSBは、SCとMCの間に有意な差は見られなかった。しかし、TSHはSCの方がMCに比べて有意に高かった(p<0.05)。これらの結果は、キャップの特性に影響されることを示しており、防水性のあるキャップには、頭部の熱放散を妨げる働きがあると考えられる。従って、長時間のトレーニングやレースにおいて頭部温度の上昇を避けるためには、水温条件を考慮してキャップを選択することが望ましいと考える。
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Research Products
(1 results)