2002 Fiscal Year Annual Research Report
GIS支援による下肢不自由者の都市空間におけるアクセシビリティに関する分析
Project/Area Number |
14780042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮澤 仁 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10312547)
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Keywords | 都市 / 建造環境 / アクセシビリティ / 障害 / GIS / 多摩ニュータウン |
Research Abstract |
本研究は、都市空間における建造環境の特徴が、下肢不自由者の活動機会へのアクセスをどの程度制限しているのか、物理的障壁を考慮に入れた近接性の分析から明らかにすることを目的としている。そこで、平成14年度は、対象地域である多摩ニュータウンの早期開発地区における建造環境の特徴を明らかにするため、1.活動機会が入居する建築物の構造に関してバリアフリー度を調査し、2.移動経路となる道路の傾斜に関して計測を行い、3.得られた情報をGISに入力して整理した。 1の調査は、2002年12月下旬〜2003年1月上旬と2月下旬〜3月上旬に実施し、対象地域に立地する1千件の施設について、入口の構造(段差がある場合には高さと階段、スロープの場合には傾斜の緩急も調査。大型施設は内部も調査)とドアの形態、入口と前面道路との位置関係(距離、高低差)を調査した。 2の傾斜計測は、まず2002年9月に対象地域で階段等の所在を調査した。次ぎに、購入した等高線のデジタル・データと、独自にデジタル化した道路上に位置する標高点の高度データを用いて道路の傾斜を計測した。 そして、随時、1と2から得られた情報をGISに入力し、次年度の近接性分析に向けたデータ整理を行った(3の作業)。 以上の現地調査とデータ整理の結果、対象地域における活動機会のバリアフリー度として、公的機関により計画的に開発されたセンター地区では8割の施設の入口がバリアフリーとなっているのに対して、幹線道路沿いに形成された商業地区に立地する施設において入口がバリアフリーの事例は4割に満たなく、地区間でバリアフリー度に相違のみられることが明らかになった。また、総延長の3割強に相当する道路が3%以上の勾配(階段を含む)を、とくに2割弱の道路は5%以上の勾配をもっており、対象地城には下肢不自由者の移動に対して障壁となる坂や階段が遍在していることが明らかになった。
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