2002 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯島嶼沖縄の小流域における水および土砂の流出特性
Project/Area Number |
14780057
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
廣瀬 孝 琉球大学, 法文学部, 講師 (40305181)
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Keywords | 沖縄 / 亜熱帯島嶼 / 水文地形学 / 山地小流域 / 水の流出特性 / 土砂の流出特性 / 溶存物質濃度 / 浮遊物質濃度 |
Research Abstract |
本研究の目的の一つは,亜熱帯島嶼沖縄における小流域の水および土砂の流出特性を把握することである.本年度においては,沖縄島北部の大保大川の一支流に研究流域を設定し,水文観測を行った.調査対象とした流域は,流域面積0.23haの小流域で,地質としては名護層千枚岩と国頭礫層の境界にあたる.流域の一部は,植生が伐採されており,赤土が露出している.貫入試験を行った結果,3〜4m以上の厚い土層・風化層が形成されていた.このような流域で,流域の出口にV-ノッチ堰を設置し,そこでの水および土砂の流出の観測を行った.水の流出は水位計およびデータロガーで,溶存物質については電気伝導度計とロガーで,降雨時の土砂流出は,浮遊物質についてはオートサンプラーを用いて採水したものを実験室で分析し,より粒径の大きな物質については堰への堆砂量を計測した.また,流域の尾根部に雨量計および小型ロガーを設置して雨量を観測した. これらの観測から次のような結果が得られた.1.降雨流出時における流出成分は直接流出成分が主体であり,降雨は速やかに流出する.これは,流域内における裸地の部分の関与が大きい.2.しかし一方で,降雨イベントにおける流出率は低い.これには,流域内の植生がある部分における土壌の浸透能が小さいということが影響している.3.水の電気伝導度の値は高く(平常時で約35mS/m),土砂は溶存物質として流出する割合が高い.4.浮流土砂濃度のピークが流量のピークより遅れて出現するのが観察された.これは,土層のトラップ効果の減少によるものと考えられる.5.浮流土砂濃度は最初の流量のピーク時が最も高く,その後の流量のより大きなピーク時であってもあまり高くはならなかった.このことは浮流物質となる細粒物質の消耗によるものと思われる.6.掃流土砂量は,3mm/10min以上の降雨回数とピーク流量に大きく依存していた.
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