2002 Fiscal Year Annual Research Report
肥満に寄与する酵素遺伝子の転写活性化機構と栄養因子によるその調節
Project/Area Number |
14780075
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
山下 広美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (70254563)
|
Keywords | 脂肪 / 代謝 / 肥満 / 転写因子 / 肝臓 / グルコース |
Research Abstract |
肝臓における脂肪合成系の鍵酵素であるピルビン酸キナーゼ(L-PK)遺伝子の転写因子として見い出されたChREBP(Carbohydrate Responsive Element Binding Protein)は、高炭水化物食を摂取すると活性化されて、遺伝子の転写活性を促進させる。本因子による遺伝子転写活性は食餌条件により大きく変動し、高脂肪食を摂取すると、活性が有意に阻害される。本研究では、高脂肪食によるChREBP活性化阻害について明らかにするために、ラットおよびマウスのcDNAを肝細胞へ導入した系を用いて、解析を行った。L-PKのプロモーター部位とルシフェラーゼ遺伝子を保持するpGL3ベクターと、ラットまたはマウスのChREBP遺伝子とを肝実質細胞に共に導入(トランスフェクション)しグルコース添加に対する応答について調べた。その結果、ラットおよびマウスのいずれのChREBP遺伝子を導入した細胞もグルコースに対して高いL-PK遺伝子の転写活性を示した。次にChREBPを介したL-PK遺伝子の転写活性に対する脂肪酸の影響について調べた。グルコースの添加により促進したL-PK遺伝子の転写活性は、酢酸、オクタン酸、パルミチン酸の添加により著しく阻害された。これら脂肪酸を添加した細胞ではAMP濃度が著しく増加していた。そこで同一細胞におけるAMPキナーゼの活性を測定したところ、脂肪酸を添加しない場合に比較して、その活性が有意に増加していた。また、ChREBPに対してAMPキナーゼを作用させると、ChREBPのDNAへの結合が著しく阻害された。これらの結果から、脂肪酸添加によるChREBPのL-PK遺伝子転写活性の阻害は、AMPキナーゼによるChREBPのリン酸化に起因すると推察された。ChREBPのScr^<568>を変異させた変異ChREBPを作成し、DNA結合能を調べた結果、DNA結合能は著しく低下した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Hiromi Yamashita: "Identification of a wheat allergen, Tri a Bd 36K, as a peroxidase"Biosci. Biotechnol. Biochem.. 66. 2487-2490 (2002)
-
[Publications] Hiromi Yamashita: "Purification and partial characterization of acetyl-CoA synthetase in rat liver mitochondria"J. Nutr. Sci. Vitaminol.. 48. 359-364 (2002)
-
[Publications] Kosaku Uyeda: "Carbohydrate responsive element-binding protein (ChREBP) : a key regulator of glucose metabolism and fat storage"Biochem. Pharmacol.. 63. 2075-2080 (2002)
-
[Publications] Takumi Kawaguchi: "Mechanism for fatty acid "sparing" effect on glucose-induced transcription. Regulation of carbohydrate-responsive element-binding protein by AMP-activated protein kinase"J. Biol. Chem.. 277. 3829-3835 (2002)