2004 Fiscal Year Annual Research Report
肥満に寄与する酵素遺伝子の転写活性化機構と栄養因子によるその調節
Project/Area Number |
14780075
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
山下 広美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (70254563)
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Keywords | 脂肪 / 代謝 / 肥満 / 転写因子 / 肝臓 / グルコース |
Research Abstract |
申請者らが見い出した転写因子ChREBPは、肝臓における脂肪合成系の鍵酵素であるピルビン酸キナーゼ遺伝子の発現を顕著に活性化する。本因子による遺伝子転写活性は食餌条件により大きく変動する。昨年度までの研究で、ChREBPの活性を低下させる栄養因子として酢酸を見い出し、培養肝細胞に酢酸を添加すると、細胞内のAMP濃度の上昇に伴ってAMPキナーゼが活性化され、ChREBPのリン酸化に伴ってその活性が低下することを見い出している。本年度の研究では、肥満および2型糖尿病を発症する動物であるOLETFラットに長期に酢酸を投与し、その脂肪蓄積および肝臓におけるChREBPの活性変動と脂肪合成酵素遺伝子の発現動態について調べた。OLETFラットに生理食塩水および0.9%酢酸をそれぞれ5ml/kgを30週齢まで胃腔内投与し、その過程での体重変化を測定したところ、生食群に比較して酢酸群では体重増加は0.8倍と低かった。また30週齢で解剖後、腹腔内の脂肪重量を測定すると酢酸群では体脂肪の蓄積が抑制されていた。血中中性脂肪濃度は酢酸群がどの週齢においても生食群の0.7倍であった。また血中コレステロール、レプチン、グルコースおよびインスリン濃度のいずれの生化学性状値も酢酸群は生食群より有意に低値を示した。肝臓を摘出してRNAの抽出を行い、脂肪合成系の酵素遺伝子の発現を調べると、脂肪合成の律速酵素であるアセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)の発現は酢酸群において顕著に低下していた。同様にアセチルーCoA合成酵素1(ACS1)および脂肪合成酵素(FAS)の発現の低下、さらにSREBPの発現も著しく低下していた。肝臓におけるChREBPの活性を酢酸群と生食群で比較すると、酢酸群においてその活性が低下していた。酢酸により肥満ラットにおいても細胞レベルと同様な影響を受けることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)