2002 Fiscal Year Annual Research Report
腸内の細菌外毒素が卵白アルブミン特異的免疫反応に与える影響:毒素と食物アレルギー
Project/Area Number |
14780079
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
若林 あや子 日本医科大学, 医学部, 助手 (30328851)
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Keywords | 細菌外毒素 / コレラ毒素 / 食物アレルギー / 卵白アルブミン / III型アレルギー反応 / IV型アレルギー反応 / マウス |
Research Abstract |
動物実験により、卵白アルブミン(OVA)のみを経口投与した場合、またはOVAと共に細菌外毒素であるコレラ毒素(CT)を経口投与した場合の、OVA特異的なIII・IV型アレルギー反応を検討した。 1)C57BL/6マウスに、OVAのみ経口投与した場合、OVA特異的な抗体は糞便中ならびに血中において検出されず、アレルギーが誘導されることはなかった。マウスにOVAと共にCTを経口投与した場合、CT特異的な糞便中IgA、血中1gG1・IgG2a・IgAが誘導され、CTに対する液性免疫が誘導された。それと共に、OVA特異的な糞便中IgA、血中IgG1とIgAが誘導され、OVAに対するIII型アレルギーが誘導された。 2)OVAのみ経口投与したマウスの脾臓のリンパ球において、OVA特異的なT細胞の増殖反応は検出されず、IV型アレルギーはみられなかった。しかし、OVAと共にCTを経口投与したマウスの脾臓リンパ球においては、OVA特異的なT細胞の増殖反応と共にインターロイキン(IL)-4が検出され、OVAに対するIV型アレルギーが認められた。 3)OVAのみ経口投与したマウスの脾臓と小腸上皮間のリンパ球において、OVA特異的な細胞障害性T細胞は検出されず、IV型アレルギーはみられなかった。しかし、OVAと共にCTを経口投与したマウスの脾臓と小腸上皮間のリンパ球においては、OVA特異的な細胞障害性T細胞が誘導され、OVAに対するIV型アレルギーが認められた。 以上の結果より、マウスにおいてOVA単独の経口投与により、OVAに対するIII・IV型アレルギーが誘導されることはないが、OVAと共に細菌外毒素であるCTを経口投与することによって、OVAに対するIII・IV型アレルギーが誘導されることが示された。このことは、腸内細菌の外毒素は、食事性タンパク質に対するアレルギー反応の誘導に深く関与することを示唆している。
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