Research Abstract |
近年,フリーラジカルを捕捉または消去する物質を含む食品を摂取し,各種の疾病を予防することが期待されている。そこで,実際人間が食物を摂取する場合には調理操作が欠かせないため,調理操作に伴うラジカル捕捉能への影響・挙動を検討した。 前年度の結果より,ブロッコリー中のラジカル捕捉活性をもつ物質の抽出には,メタノール,及びTris-HClを用いた。これらの溶媒に関して,抽出時間の検討を行った。その結果,Tris-HClでは30分,メタノールでは,15分間Sonicationすることで最大のラジカル捕捉活性を持つ抽出液を得ることができた。 また,サンプル中のビタミンCの含量を分析した結果,メタノール抽出物にはビタミンCは検出されないが,Tris-HCl抽出物からは検出される。さらに,Tris-HCl抽出物の内,生のサンプルからはビタミンCは検出されないが,加熱サンプル中の全ラジカル捕捉活性に対するビタミンCの寄与率を推定した結果,抽出時間に関わらず全ラジカル捕捉活性の40〜45%を占めることがわかった。したがって,Tris-HCl抽出によるラジカル捕捉活性の評価を行う場合には,同時にビタミンCの分析を行い,その寄与を除去することで,生のサンプル,加熱サンプルの比較が可能であることを明らかに これらの結果に基づく分析条件を用いて,水でゆでる,1%食塩水でゆでる,電子レンジ加熱,蒸すの各調理操作を行ったサンプルのDPPHラジカル捕捉活性,ビタミンC含量を測定した。 その結果,レンジ加熱,蒸し操作でビタミンCの損失も少なく,ラジカル捕捉活性を持つ物質の流出もしくは分解もゆで操作より抑えられることがわかった。今後,これらの加熱条件の内,嗜好的にふさわしい調理条件の検討を行う予定である。
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