2003 Fiscal Year Annual Research Report
社会調査データの二次活用による理科教育カリキュラム成立基盤の分析
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14780101
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 欽也 広島大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (70325132)
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Keywords | 科学技術の一般理解 / 二次分析 / 共分散構造分析 / 実験・観察の効果 / 女性の回答拒否・躊躇率 / 教育生産性モデル / 知識の剥落度 |
Research Abstract |
本年度は主として、米国における個票調査データを中心に以下の点について二次分析を行った。 (1)米国の前期中等教育における実験の理科学力に対する効果 (2)米国の一般成人調査における科学技術理解度の男女差と回答拒否・躊躇率との関連 (3)我が国の一般成人における理科知識の保持率 (1)については、米国で1987年から収集された米国青少年長期追跡調査で収集された第7〜第10学年のデータに対して二次分析を行った。その結果、子どもの素質的要因(意欲や前年度の理科学力)、社会環境要因(家庭環境、友人環境、学級環境、メディア環境)を制御すると、実験に対する効果は小さいことが明らかとなった。さらに、その効果は学年が上がるほど減少し、第9学年以降の理科学力に対しては有意な効果はみられなかった。 (2)については、科学技術に関する一般成人の知識理解度調査においては一般的には女性の方が低い要因の一つとして、女性は自己の知識理解度について、男性に比べより謙虚に捉えており、その結果として知識理解度測定項目において、回答を躊躇しがちであるため、知識理解度に影響をあたえているのではないかと考えた。この仮説を検証するために、1997年の米国科学技術に関する世論調査データを元に、共分散構造分析を行い、その効果を測定した。その結果、女性の謙虚さについての固有で有意な効果はみられないことが明らかとなった。 (3)については、一般成人の義務教育修了後の理科学力の剥落について検証した。その結果、以下の4点について明らかとなった (1)義務教育段階で学習した理科の知識は、他教科の学力と比較し、最も保持しがたい学力である (2)女性は義務教育段階修了後、男性と比較して理科知識を保持しない傾向がある (3)理科知識の保持傾向について、年齢群差はみられない。 (4)理科知識の有用感が高い群については、理科知識の剥落が見られない。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] SHIMIZU, Kinya: "How much effective the laboratory science is? -From the perspectives on the educational productivity-"International Journal of Curriculum Development and Practice. Vol6, No1(印刷中). (2004)
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[Publications] 清水 欽也: "義務教育段階における理科知識の成人段階での保持率について〜理科学力「剥落」現象の分析"日本科学教育学会年会論文集. 27. 409-410 (2003)