2002 Fiscal Year Annual Research Report
造形要素の組み合わせによる造形メソッドの確立と高度メディアリテラシー教育への応用
Project/Area Number |
14780121
|
Research Institution | Gifu City Women's College |
Principal Investigator |
久保村 里正 岐阜市立女子短期大学, 生活デザイン学科, 講師 (80320951)
|
Keywords | 基礎造形 / デザイン教育 / 情報教育 / パーソナルコンピュータ / メディアデザイン / デジタルデザイン |
Research Abstract |
近代デザインは産業革命による大量の工業製品の生産という時代を背景に、美術・工芸運動、バウハウスといった流れの中で生まれていった。現在の情報技術の革命によるメディアとそのコンテンツの大量生産は、産業革命に於ける品質の低下と、時代的・状況的に類似しており、現在、産業革命時と同様にデザインの流れも起きつつある。しかし、現在の状況が、産業革命の時代と大きく異なるのは、産業革命後に発生したデザイン及びその教育が絶対的少数である制作者側に発生したのに対して、現在のデジタル技術革命の場合、すべての消費者が制作者になりうる状況を生みだし、制作者と消費者といった一方向の関係でない、双方向に発生する関係を作り出している点にある。 そこで本年度は「産業革命と近代デザイン」、「デジタル技術革命とメディアデザイン」といった二つの関係を歴史的な流れと社会状況の変遷から比較検討し、「ものつくり」という観点からのメディアデザインの意義と可能性について分析を進めた。又、メディアデザイン、デジタルデザインに関しても、多くの作家や研究者が美術、美術教育といった立場から研究・教育を行っている為、それらの先行研究について分析し、現在のメディアデザイン、デジタルデザインの社会との関わりと、そこから発生してくる様々な需要を大学教育にどう反映させるかについて考察を行った。 先に述べたように、現在のデジタル技術革命が産業革命と同様の現象だとするのならば、今後、産業革命の頃がそうであったように、デジタル技術の大衆化によって、デジタルメデイアに対してのデザイン教育の必要性が発生してくると思われる。そこでデジタル技術の大衆化によるデジタルメディアに対してのデザイン教育の必要性について、岐阜市立女子短期大学と中村学園大学においてアンケートによる調査を実施し、デジタルメディアに対するデザイン教育の必要性について検討を行った。そしてその結果、パソコン歴の長いユーザーは、より高度で多角的なパソコンの使用を望んでおり、使用用途としてはデザインなどの「ものつくり」に対して需要が多いこという傾向が得られた。そこで以上の結果を踏まえ来年度からは、現在までに作成した造形要素の組みあわせによる造形メソッドを利用した基礎造形教育を、本年度で検討を進めた高度メディアリテラシー教育へ、応用を試みる。
|
Research Products
(2 results)