誤答原因に関する診断情報をフィードバックするシステムの研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14780127
• Research Institution: The National Center for University Entrance Examinations
• Principal Investigator: 椎名 久美子 独立行政法人 大学入試センター, 研究開発部, 助教授 (20280539)
• Keywords: 問題解決過程 / 空間認識力 / メンタル・ローテーション・テスト

Research Abstract

多肢選択式のテストの解答過程データには,各選択肢の正誤判断にかかった時間などの情報が含まれているので,それらの情報から解決方略の一貫性や冗長性などの指標を抽出する試みを進めた.特に誤答の生成過程に着目して分析を進めるために,比較的空間認識力が低いと思われる集団を対象にネットワーク環境のパソコン上で空間テストを実施して,その解答過程を記録する実験を行うことによって,誤答データを収集した.今年度の実験で得た誤答データと前年度までに蓄積した誤答データを用いて,低得点者の誤答傾向の特徴を数量的にとらえることを試みた.
収集したデータから,各問題において誤判断に費やした時間を抽出し,それらが各問題を解くのに要した時間に占める割合を誤判断時間率と定義して,各被験者の各問題の誤判断時間率を算出した.一部の低得点者は,問題ごとの誤判断時間率の違いが大きく,解答時間の多くが誤判断に費やされてしまう問題が存在することが示唆された.さらに,どの選択肢にかかわる判断ミスに時間がかかっているのかを数量的にとらえるため,被験者が誤答した各問題において,誤判断が生じたそれぞれの選択肢に費やした時間が誤判断時間に占める割合を,選択肢別消費時間率と定義して,算出した.この値は,どの選択肢に関わる判断ミスが全体の誤答生成に影響を与えるかの手がかりになり得ることが示唆された.
以上の研究成果については,日本図学会2002年度本部例会において「メンタル・ローテーション・テストの誤答生成過程の分析」という題目で口頭発表を行った.