2002 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害者における「心的状態」の理解に基づく対人スキルの形成と般化
Project/Area Number |
14780138
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松岡 勝彦 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (70312808)
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Keywords | 発達障害 / 心の理論 / アセスメント / 対人スキル / 応用行動分析 |
Research Abstract |
他者とのコミュニケーションに課題のあるアスペルガー障害の中学生1名を対象に、指導室と日常の両場面でアセスメントを実施した。そして、その結果や保護者のニーズに基づき、標的行動を決定し、介入とプローブの測定を順次行った。なお、指導室場面では、ベースライン、介入1、プローブ1、介入2、プローブ2が、日常場面では、ベースライン、プローブ1、プローブ2が行われた。 まず、日常場面における家族とのコミュニケーションについてアセスメントを行ったところ、スムーズなコミュニケーションを阻害する可能性のある言語反応(例えば,「今日の勉強はどうだった?」という家族からの問いかけに対して「さあ」「別に」とのみ返答する反応)がしばしば観察された。この言語反応は、指導室場面においてもかなり観察され、保護者からは「このような言い方では相手が嫌な気持ちになってしまう。ぜひ、これを改善して欲しい」とのニーズがあった。 そこで、アセスメントでこれらの言語反応が観察された場面と類似したものを説明した文章問題を作成し、これに対象生徒が回答する形式で介入を行った(介入1;対象生徒は文章を読んで回答することが好みであり得意でもあった)。その後のプローブ1の結果、日常場面では「さあ」「別に」に、ひとこと付け加えて返答する反応が増加したが、指導室場面では増加しなかった。そこで、文章に回答する形式に加え、「さあ」「べつに」のみで返答した場合に、ひとこと付け加えるよう直接的助言を行ったところ、指導室場面においても、このような言語反応が増加した。 平成14年度は、発達障害のある小学生や中学生を対象に「心的状態」の理解に関する対人スキルのアセスメントを行う予定であったが、中学生のみの参加であったため、アセスメントのみならず、介入やプローブの測定まで行った。次年度は、小学生を対象に検討する予定である。
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