2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14780172
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二宮 嘉行 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (50343330)
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Keywords | 変化点解析 / 尤度比検定 / 漸近理論 / 情報量規準 |
Research Abstract |
今年度は,時系列で変化点の数(構造変化の回数)を統計的に決定することを目的として,複数の変化点検知のための検定の,より実用に即した方法に必要な理論を構築し,さらに複数の変化点をもつモデルに対する情報量規準を導出した. まず,昨年度までに構築した,複数の変化点に関する尤度比検定の漸近理論を用い,多重検定方式に基づき,かつ変化のマスキング効果の影響も受けにくいような,変化点数の決定方法を提案した.そして数値実験により,さまざまな設定において提案する方法が有効であることを示した. 複数の変化点に関する検定をおこなう際,変化点の位置どうしが近いモデルを考えることは漸近理論を崩すばかりでなく,データ解析としても意味がない.そこで,次にそういうモデルを考えることに罰則をつけた罰則付き尤度比検定を考え,そのP値の大偏差型近似を与え,そして上の決定方法に組み入れた. 変化そのものに興味があるわけではない場合は,情報量規準に基づいたモデル選択を考えることも重要である.変化点モデルに対する今までの情報量規準は,変化点位置の違いはパラメータの違いではなく,モデルの違いとして扱っている.それは不自然なことであり,変化点位置をパラメータとすることの理論的な扱いにくさにそう考える理由があると思われる.そこで情報量規準として基本的なAICと同じ導出法で,変化点位置をパラメータとした場合の情報量規準を導出した.そして,変化点位置のパラメータは通常のパラメータの約三倍の罰則を必要とすることを示した.
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