バイナリレベル複数スレッド化による計算機の高速化に関する研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14780186
• Research Institution: Utsunomiya University
• Principal Investigator: 大津 金光 宇都宮大学, 工学部, 助手 (00292574)
• Keywords: バイナリ変換 / マルチスレッド化処理 / 実行時最適化 / 投機実行 / スレッドパイプライニング

Research Abstract

本年度は、研究計画に従い、単一スレッドコードを複数スレッドコードへバイナリレベルで自動変換することでマルチスレッドプロセッサの性能を引き出すことを目標とするソフトウェアシステムのプロトタイプ開発を継続して行なった。
複数スレッド化手法に関して、従来方式では困難であった、メモリアクセスに対しての複数スレッド化について、バイナリレベルでのポインタ解析を行なうことにより、複数スレッド化を可能とする手法を開発し、実装を行なった。
また、実行時支援システムについて、昨年度開発を行なったサンプリング手法とパスプロファイル手法を併用した方法を用いてアプリケーション実行中にどの部分が最適化の効果が最も現れるかを自動的に判定するシステムに加え、複数スレッド化を含む各種最適化処理によりプログラムが真に性能向上したかどうかを実行サイクル数を直接計測することにより判定する手法の開発を行なった。
また、昨年度までの評価結果により、整数演算系アプリケーションに対しては、その高速化の幅が小さく、台数に応じた高速化が達成困難であることが明らかになったが、この結果を受け、整数演算系アプリケーションにおいても高速化を達成するため、投機的スレッド実行モデルを活用した複数スレッド化の検討を行なった。具体的には、SPECint95ベンチマークプログラムに対して、スレッド間の制御依存に関して投機実行を行なう「制御投機」方式と、スレッド間のデータ依存に関して投機実行を行なう「データ投機」方式の適用検討を行なった。その結果、投機的処理を行なわない場合に対して、投機的処理を行なうことにより性能向上が可能であることが確認できた。
さらに、実行時最適化のアイデアを基にした最適化システムを特許として出願を行なった。

Research Products

• [Publications] Y.Iwamoto, K.Suga, K.Ootsu, T.Yokota, T.Baba: "Receiving Message Prediction Method"Parallel Computing, Elsevier. Vol.29. 1509-1538 (2003)
• [Publications] M.Saito, G.Ishihara, F.Furukawa, K.Ootsu, T.Yokota, T.Baba: "YAWARA : A Meta-Level Optimizing Computer System"7^<th> International Workshop on Innovative Architecture for Future Generation High-Performance Processors and Systems(IWIA04). (2004)
• [Publications] A.Hattori, F.Furukawa, K.Ootsu, T.Yokota, T.Baba: "Eagle : A Novel Fault-Tolerant System for Large-Scale Computational Grids"3^<rd> IEEE/ACM International Symposium on Cluster Computing and the Grid(CCGrid2003). (2003)
• [Publications] 服部晃和, 古川文人, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "大規模グリッド向けフォールトトレラントシステムEagleの提案"先進的計算基盤システムシンポジウムSACSIS2003論文集. 185-186 (2003)
• [Publications] 加藤文彦, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "間歇的プロファイリングの提案とSPECint95による評価"情報処理学会研究報告. Vol.2003,No.84. 31-36 (2003)
• [Publications] 横田昌之, 佐藤智一, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "バイナリレベルマルチスレッド化への制御投機の導入とそ評価"情報処理学会研究報告. Vol.2003,No.84. 109-114 (2003)
• [Publications] 鈴木圭介, 古川文人, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "投機的コヒーレンス制御機構SCCMの性能解析"情報処理学会研究報告. Vol.2003,No.84. 127-132 (2003)
• [Publications] 西谷雅史, 絵面聡, 古川文人, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "動的な情報を用いたルーティングアルゴリズムCross-Lineの検討"情報処理学会第97回ハイパフォーマンスコンピューティング研究会 合同研究発表会(HOKKE2004). (2004)
• [Publications] 先田裕美子, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "実行サイクル数サンプリングによるマルチスレッド化の適否判定"情報処理学会 第66回全国大会講演論文集. (2004)
• [Publications] 佐藤智一, 三木大輔, 横田昌之, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "バイナリレベルポインタ解析を用いた自動マルチスレッド化"情報処理学会 第66回全国大会講演論文集. (2004)
• [Publications] 高済健吾, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "投機的マルチスレッド処理実行のモデルのSystemCによるモデリング"情報処理学会 第66回全国大会講演論文集. (2004)
• [Publications] 阿久津徳寿, 佐藤智一, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "バイナリレベルマルチスレッド化におけるスレッドコード最適化"情報処理学会 第66回全国大会講演論文集. (2004)
• [Publications] 三田翼, 三木大輔, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "値プロファイルに基づくデータ値予測可能性の検討"情報処理学会 第66回全国大会講演論文集. (2004)
• [Publications] 三木大輔, 三田翼, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "バイナリレベルマルチスレッド化におけるデータ投機の検討"情報処理学会 第66回全国大会講演論文集. (2004)
• [Publications] 絵面聡, 西谷雅史, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "ルーティングアルゴリズム開発のための環境構築とその初期評価"情報処理学会 第66回全国大会講演論文集. (2004)
• [Publications] 薬師寺健太, 服部晃和, 古川文人, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "グリッド環境におけるチェックポインティング手法の検討と初期評価"情報処理学会 第66回全国大会講演論文集. (2004)
• [Publications] 湯澤孝有, 服部晃和, 大津金光, 横田隆史, 馬場敬信: "ファイル細分型P2Pにおける最適化手法の提案"情報処理学会 第66回全国大会講演論文集. (2004)