2002 Fiscal Year Annual Research Report
並列計算環境を対象とした効率的オブジェクトレイアウト法とその自動化
Project/Area Number |
14780217
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鎌田 十三郎 神戸大学, 工学部, 助手 (20304131)
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Keywords | 適応的オブシェクト / 排他制御緩和 / オブジェクトレイアウト / 並列計算環境 |
Research Abstract |
本研究では、今後増加するであろう並列・分散アプリケーションに対し、台数効果達成のためのプログラムチューニング自動化を目指しており、(a)共有メモリ向けオブジェクトレイアウトの自動最適化と、(b)適応的オブジェクトによる効率的分散オブジェクト実装の二つのアプローチから研究を行っている。 (a)に関しては、フィールドアクセス情報をもとにクラスを分類・分割し、これらの分類情報をもとに自動メモリ管理機構がキャッシュを意識した並列向けレイアウトをおこなうことで実現を目指している。本年度は、SUN HotSpot Server VMの自動メモリ管理機構に対し、深さ優先コピー方式やアクセス傾向別領域を導入し、その有効性を評価しており、クラス分割レイアウトでは最大30%の速度向上をメモリオーバヘッドの削減のみによって達成した。この研究成果については現在論文を投稿中である。また、システムの完成を目指して,現在、bytecode変換技術によるプロファイラやレイアウト変換ツールを実装中である。 (b)の適応的オブジェクトとは、局面情報を用いることでプログラムの実行状況の変化を捉えるための枠組みであり、本年度は局面解析手法とそのアルゴリズムを提案した(論文1)。加えて、適応的オブジェクトを用いた最適化技法として、一定期間定数化する変数を解析することで一貫性を保証しつつ排他制御緩和を行う方法を提案、プロトタイプシステムを用いて実証した(論文2)。この結果、共有メモリ並列環境における共有オブジェクトに対し、自動的な排他制御緩和の効果を示すことができた。現在、効率的な分散オブジェクトへの応用にむけて、精度の向上のための解析手法の見直しと、システム実装を行っている。 加えて,実際のサーバサイドアプリケーション例として、商用分野で注目を集めるXMLWEBサービスに対し、効率実装の研究をはじめている(投稿中)。
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