2002 Fiscal Year Annual Research Report
IPマルチキャストを利用した数値計算の分散コンピューティング
Project/Area Number |
14780236
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
宮川 佳夫 岡山県立大学, 情報工学部, 助手 (50229803)
|
Keywords | マルチキャスト / 計算機クラスタ / 並列処理 / コレスキー分解 / 連立方程式 / ブロードキャスト |
Research Abstract |
1.IPマルチキャストを利用した数値データ配信手法の開発 IPマルチキャストはUDPに基づくため,TCPと異なりプロトコルレベルでの通信の信頼性が保証されていない.したがってパケット喪失の検出や再送処理などの機能を追加することによって信頼性を確保する必要がある.本研究ではまずデータ送信ノードがデータパケットをマルチキャストで送出し,通信対象となるすべての受信ノードがそのパケットを受信すると肯定確認応答(ACK)をそれぞれ返送する手法を実装した.すべてのACKが返送されればそのパケットは通信成功と見なし,次のデータパケットを送出する.ACKが不足する場合には通信失敗と判断し同一データを再送する.さらにこの手法の通信効率を向上させるための発展形として,データとACKの通信を重畳させる手法を開発した. 2.実験設備の構築と通信性能の計測 現有設備であるFast Ethernetで接続された計算機クラスタを基礎として,当補助金によってギガビットスイッチとギガビットアダプタを導入し,今後の標準的なネットワーク環境といえるギガビット・イーサネットを有する実験設備を構築した.次に上記通信手法をC言語により本実験設備に実装し,動作試験と性能測定を行った.まず通信の確実性と安定性を確認するとともに,パケットの喪失を擬似的に発生させ,再送処理が正常に実行されることを確認した.次に本手法の通信性能を測定した.その結果,ノード数24のときに,MPIの代表的な実装であるMPICHのブロードキャストと比較して,約6.5倍の通信速度を得た. 3.並列数値計算への適用 同通信手法を連立方程式の求解法であるコレスキー分解の分散並列処理に適用し,並列処理性能を計測した.その結果,未知数約18万の連立方程式の求解では,標準的手法であるMPICHを採用した場合と比較して,ノード数24のときに約2倍の高速化を達成した.
|