2002 Fiscal Year Annual Research Report
整数論的アルゴリズムとその公開鍵暗号への応用に関する研究
Project/Area Number |
14780243
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
金山 直樹 早稲田大学, 理工学部, 助手 (70339696)
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Keywords | 公開鍵暗号 / 超楕円曲線 / 位数計算 |
Research Abstract |
Schoofは1985年に,有限体K上の楕円曲線Eに対してEのK有理点の全体E(K)の位数を計算する決定的多項式時間アルゴリズムを発表した。同じ年に,MillerとKoblitzにより独立に,有限体上の楕円曲線を利用した公開鍵暗号暗号が提案され,このパラメータ生成にSchoofのアルゴリズムが利用できる事知られ大きな注目を浴びた. 有限体上の一般のアーベル多様体に対して同様のことが出来ないか,という自然な問題が生じてくるが,これについても既にいくつかの結果がある。まず,AdlemanとHuangは,種数2の有限体上の超楕円曲線を利用した素数判定法の提案のため,種数2の場合に,そのヤコビ群の位数計算のための確率的多項式時間アルゴリズムの存在を示した.次に,Pilaにより,一般の高次元のアーベル多様体においても(種数を固定して)有限体のサイズについての決定的多項式時間で動くアルゴリズムの存在が証明された. Pilaの群位数計算アルゴリズムの記述のためには,そのアーベル多様体の定義方程式と加法公式が明確な形で与えられていることを仮定している。種数2の代数曲線(これらは全て超楕円曲線である)のヤコビ多様体の定義方程式や加法公式については,GrantやFlynnが具体的に書き下している. 研究代表者はGrantの定義方程式によって表現されてヤコビ多様体において等分多項式を用いた乗法倍公式をすでに導き出しているので、それを用いてSchoofの場合と全く同様に,定義方程式と加法公式,そして等分多項式を組み合わせて群位数を計算するアルゴリズムを書き下すことが可能となる.本研究では,Grantのモデルの下で,種数2の超楕円曲線のヤコビ群の位数を計算するアルゴリズムを提案し,その計算量についても考察した.
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