2002 Fiscal Year Annual Research Report
マルチモーダル・コミュニケーションにおける会話調整機能のモデル化
Project/Area Number |
14780258
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
傳 康晴 千葉大学, 文学部, 助教授 (70291458)
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Keywords | マルチモーダル会話 / 非言語情報 / 会話コーパス / 言語学的記述 / タイプ的記述 / 注釈グラフ |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間の対面コミュニケーションにおける会話調整過程を、言語情報のみならず、姿勢・身振り・表情などの非言語情報も考慮して、総合的に分析し、モデル化することである。本年度は、言語・非言語情報を統合的に記述するための枠組みを開発し、試験的にデータの収集と符号化を行なった。具体的には、以下のことを行なった 1.マルチモーダル会話コーパスの設計:人間同士のマルチモーダル・コミュニケーション過程の詳細な分析のためには、音声・動画像・転記テキストに加えて、言語学的・行動学的に意味付けされたさまざまな種類のタグが必要である。とくに、姿勢・身振り・表情などの非言語情報を音韻・形態素・韻律などの言語情報と統合的に記述するためには、非言語情報を「言語学的」に分析することが必要である。我々は、行為の分節化・範疇化・構造化という観点から言語・非言語情報を統一的に記述する枠組みを与え、うなずきなどの動作がこの枠組みの中でどのように記述できるかを示した。 2.言語学的対象のオントロジー:言語・非言語情報の「言語学的」記述のためには、まず記述の道具としての「言語学的」対象を体系化しなければならない。この点に関して、現状ではまったく検討がなされていないのみならず、記述道具の体系をコーパス中に明示的に表現するという視点すら共有されていない。これは、実世界で生じる個々のイベント(行為のトークン)とそれを分節化・範疇化・構造化する際に利用する斉一性(行為のタイプ)との区別がなされていないためである。我々は、言語学的対象の統一的な記述に有力な注釈グラフの枠組みを拡張することによって、このようなタイプ的記述を体系化する方法を与えた。
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Research Products
(2 results)