2004 Fiscal Year Annual Research Report
マルチモーダル・コミュニケーションにおける会話調整機能のモデル化
Project/Area Number |
14780258
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
傳 康晴 千葉大学, 文学部, 助教授 (70291458)
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Keywords | マルチモーダル会話 / 非言語情報 / 聞き手役割 / 視線 / うなずき / 笑い |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間の対面コミュニケーションにおける会話調整過程を、言語情報のみならず、姿勢・身振り・表情などの非言語情報も考慮して、総合的に分析しモデル化することである。本年度は、これまでに収録したマルチモーダル会話データにもとづき聞き手の行動の分析を行った。 1.3人会話における聞き手のちょっとした振る舞いの分析:3人会話を対象として、視線・うなずき・笑いなどの聞き手のちょっとした振る舞いが聞き手役割(次話者になるか否か)によってどのように異なるかを分析した。その結果、以下の特徴が見出された。 a)次話者にならない聞き手(非次話者)は、次話者に比べて、話し手への視線が少なく、他の聞き手(次話者)への視線が多い。 b)次話者は、非次話者に比べて、手の動きやうなずきが多い。 c)話し手に見られると、非次話者は笑いが多くなる。 このように、会話の聞き手は話し手の発話をだまって聞いているのではなく、自らの役割に応じた行動を示していることが分かった。 2.聞き手のちょっとした振る舞いの相互作用の分析:上記分析に引き続いて、視線・うなずき・笑いなどの聞き手のちょっとした振る舞いが話し手の発話のどの位置で生じるかを分析した。その結果、以下の特徴的な振る舞いが観察された。ア)発話序盤・中盤での次話者の話し手への視線、イ)発話序盤・中盤での非次話者の話し手への視線、ウ)発話序盤での非次話者の他の聞き手(次話者)への視線、エ)発話終盤での非次話者の笑い、オ)発話終盤での次話者のうなずき、カ)発話終盤での非次話者の他の聞き手(次話者)への視線。このうち、ア・イ・カは偶然以上によく共起して生じる。このように、会話の聞き手は自らの役割に応じた行動を、自らの役割に応じた適切な位置で示していることが分かった。
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Research Products
(2 results)