2003 Fiscal Year Annual Research Report
高精度な雨量情報に基づく土砂災害危険度のリアルタイム予測
Project/Area Number |
14780372
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
里深 好文 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20215875)
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Keywords | 降雨観測 / 地形性降雨 / 雨量分布 / 山岳地形 / 土砂流出予測モデル |
Research Abstract |
京都大学防災研究所災害観測実験センター穂高砂防観測所の観測流域である岐阜県上宝村の神通川水系足洗谷流域において,高密度に雨量計を配置し,降雨観測を行った。その結果,観測領域である2.5km四方,最大標高差約1500mのエリアにおいて,年雨量や-雨雨量や日雨量といった比較的長い時間を対象とする降雨量は,たとえ標高や斜面向きが異なってもほぼ同じ値をとることが明らかになった。反対に,1時間雨量,10分間雨量のように短い時間内の降雨強度に関しては,500m程度離れた地点間でも最大4倍の差が生じることが分かった。表層崩壊の主たる原因である短期間の強い降雨が,空間的に大きく変動することが確認されたことは大きな成果であるといえる。今後は観測領域をもう少し広い半径10km程度の領域に拡大し,引き続き詳細な降雨観測を継続する予定である。 詳細な降雨情報に基づき混合砂礫の流出プロセスを追跡する分布型土砂流出予測モデルに関しては,既存のモデルにさらなる改良を加え,インドネシア国東ジャワのブランタス河流域ならびに姫川流域や三峰川流域への適用を通じて,その妥当性を検証している。また,土砂流出解析の実務にあたっている複数の技術者と意見交換しながら,安定した計算が行えるだけではなく,より使い勝手の良いシミュレーションモデルの構築を目指している。 山地河川における細粒土砂の流送過程ならびに河床粒度の変動プロセスに関して数値シミュレーションによる検討をおこない,非平衡性の強い場においても適用可能な河床変動・流砂モデルを構築した。このモデルは上述の分布型土砂流出予測モデルに組み込む予定である。
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