2002 Fiscal Year Annual Research Report
弱衝突性ジャイロ運動論に基づくプラズマ乱流の直接数値シミュレーション研究
Project/Area Number |
14780387
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
渡邉 智彦 核融合科学研究所, 理論・シミュレーション研究センター, 助教授 (30260053)
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Keywords | プラズマ / 乱流 / 輸送現象 / 計算機シミュレーション / 核融合 |
Research Abstract |
磁化プラズマにおける粒子及び熱の乱流輸送機構の解明とその予測は、磁場閉じ込め核融合研究において、当初からの主要な中心課題の一つである。我々は最近、1体速度分布関数を記述するジャイロ運動論方程式を多次元の位相空間中で直接解くシミュレーションを行い、一定の温度勾配によって駆動される無衝突プラズマ乱流においては、位相混合により速度空間内に分布関数の細かな揺動が生成され続け、その生成率と定常的な乱流輸送が釣合う「準定常状態」が実現され得ることを明らかにした。こうした無衝突プラズマ乱流シミュレーションが現実的な意味を持つには、衝突周波数を徐々に小さくしていった場合、その結果が無衝突の場合と一致することが必要である。そこで今年度は、様々な衝突周波数に対して2次元の乱流輸送シミュレーションを行い、輸送係数と分布関数を詳細に調べ、無衝突の結果と比較した。その結果、衝突周波数が小さくなるにつれて、輸送係数は無衝突乱流の場合に漸近することが確かめられた。これは、無衝突プラズマ乱流シミュレーションで得られた「準定常状態」が、衝突周波数0の極限として有意なものであることを支持している。さらに、様々な衝突周波数の場合に得られたイオン速度分布関数の速度空間スペクトルを調べると、無衝突の場合と異なりわずかでも有限の衝突があると、分布関数は「定常状態」に達し得るということ、また、衝突周波数に応じて速度空間波数の高い側の分布が決められる、という点が明らかになった。ここで得られた定常分布関数をさらに詳しく解析すると、速度波数空間において、不安定性により分布関数の揺動が作り出される領域、その揺動が位相混合により小さなスケールに運ばれる一種の「慣性領域」、揺動が衝突により散逸する領域、がそれぞれ存在することが確かめられた。このことは、流体乱流でよく知られた波数空間内でのエネルギー伝達と対応しており興味深い。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.-H.Watanabe, H.Sugama: "Kinetic simulation of a quasisteady state in collisionless ion temperature gradient driven turbulence"Physics of Plasmas. 9・9. 3659 (2002)
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[Publications] H.Sugama, T.-H.Watanabe, W.Horton: "Comparison between kinetic and fluid simulations of slab ion temperature gradient driven turbulence"Physics of Plasmas. 10・3. 726 (2003)