2004 Fiscal Year Annual Research Report
高強度フェムト秒レーザーを用いたポジトロンエミッター生成に関する研究
Project/Area Number |
14780405
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 文信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40332746)
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Keywords | フェムト秒レーザー / 高強度レーザー / クラスター / クーロン爆発 / 原子衝突 / 高エネルギー発生 |
Research Abstract |
本研究では、テーブルサイズの高強度フェムト秒レーザーを利用したポジトロンエミッターの生成に関して調べた。高強度フェムト秒レーザーの集光によって作りだす、強光電場の作用(クーロン爆発)によって高エネルギーイオンを発生させて、高エネルギーイオンとターゲット原子の核反応によるポジトロンエミッター生成を考案した。 5TWの高強度フェムト秒レーザー(京都大学化学研究所)を用いて、クラスターターゲットに照射し、発生するイオンのエネルギースペクトルを調べた。開発したクラスターターゲットは、10^<-3>Paの真空領域で、平均サイズ10^<19>atom/clusterまでのクラスターを生成することが可能である。水素、アルゴンガスを用いたレーザー・クラスター相互実験では、発生イオンの最大エネルギーは、9keV、500keVであった。アルゴンクラスターは水素クラスターと比較して、高い価数のイオン(Ar^+〜Ar^<7+>)発生が得られること、ファンデルワールス力が強くサイズの大きいクラスター生成が容易であることなどの要因で、高い強度のクーロン爆発が生じて、イオン発生の最大エネルギーが1桁以上高くなっていることが判った。 従って、高強度レーザーとクラスターの相互を利用した^<11>C,^<13>N,^<15>O,^<18>Fなどのポジトロンエミッターを生成を想定した場合、^<14>N^1H_3,^1H_2^<16>O,^<14>N_2H_3、^1H_2^<18>Oなどのクラスターターゲットが有効であると結論付けた。(利用する核反応は、^<14>N(p, a)^<11>C,^<16>O(p, a)^<13>N,^<14>N(d, n)^<15>O,^<18>O(p, n)^<18>F、発生イオン^<14>N,^<16>O,^<18>Oのエネルギーがそれぞれの核反応閾値を超える。)また、さらに高いレーザー強度が得られれば、高強度フェムト秒レーザーとクラスターの相互作用によるポジトロンエミッター生成が可能であると結論付けた。
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