2003 Fiscal Year Annual Research Report
貧栄養海域の漂泳区物質循環に与えるピコプランクトンの影響
Project/Area Number |
14780415
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小針 統 鹿児島大学, 水産学部, 助手 (60336328)
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Keywords | 亜熱帯外洋域 / ピコプランクトン / 食物網 / 生物海洋学 / バイオマス / 物質循環 |
Research Abstract |
1)プランクトンバイオヤスの算出 植物プランクトンのバイオマスは0.4-1.6gC/m^2の間で変化したが、各サイズ群とも明瞭な季節パターンが認められなかった。ナノ鞭毛藻が1年を通してもっとも高いバイオマスを有し、これ以外ではシアノバクテリアがピコサイズ群で、中心目ケイ藻がマイクロサイズ群で多かった。しかし、本研究では原核緑藻類のバイオマスが過小算出されており、ピコサイズ群のバイオマスがより高くなることが示唆された。動物プランクトンのバイオマスは1.2-2.4gC/m^2の間にあり、夏に高くなる傾向を示した。これは、1年を通して高いバイオマスを維持するバクテリアが、水温の高い時期に増加したためであった。また、メソサイズ群に属するカイアシ類のバイオマスはナノ〜マイクロサイズ群よりも高く、バクテリアに次ぐバイオマスを有した。 2)プランクトンの成長速度・死亡速度の算出 バクテリア、シアノバクテリアでは明瞭な被食効果が認められ、1年を通してナノ〜マイクロプランクトンの主な餌料となっていることが示された。バクテリアの成長速度は常に死亡速度よりも高く、1年を通して高いバイオマスを維持している原因と思われた。しかし、シアノバクテリアの成長速度は夏に死亡速度よりも低くなり、ナノ〜マイクロプランクトンからの捕食によってバイオマスを減少させていることが示唆された。 3)表層プランクトン食物網における炭素の流れ 当海域では、ピコプランクトンのバイオマスが高く、ナノ〜マイクロプランクトンの捕食を受けていることから、1年を通してピコプランクトンに依存した微小食物網が存在していることが示唆された。しかし、カイアシ類は微小食物網から流れる炭素の他に、本研究で検討されていないマイクロサイズ群に属する糸状体ラン藻の炭素を利用することによって、高いバイオマスを維持していることが示唆された。
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[Publications] T.Kobari, K.Tadokoro, A.Shiomoto, S.Hashimoto: "Geographical variations in prosocne length and body weight of Neocalanu copepods in the North Pacific"Journal of Oceanography. 59. 3-10 (2003)
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[Publications] T.Kobari: "How do we progress plankton studies in future? : recent advances and future prospect in zooplankton studies"Bulletin of Plankton Society of Japan. 50・1. 25-29 (2003)
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[Publications] T.Kobari, T.Ikeda, Y.Kanno, N.Shiga, S.Takagi, T.Azumaya: "Interannual variations in abundance and body size in Neocalanus copepod in the central North Pacific"Journal of Plankton Research. 25・5. 483-494 (2003)
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[Publications] T.Kobari, A.Tsuda, A.Shinada: "Functional roles of interzonal migrating mesozooplankton in the wester subarctic Pacific."Progress in Oceanography. 57・3-4. 279-298 (2003)