2003 Fiscal Year Annual Research Report
臭素化・塩素化ダイオキシン異性体の構造特性に基づくc-GCRT予測モデルの構築
Project/Area Number |
14780417
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
牧野 正和 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (50238888)
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Keywords | 臭素系ダイオキシン / 置換位置異性体 / キャピラリーガスクロマトグラフィー / 量子化学計算 / カラム保持時間 / プロキシミティブ位置 / ニューラルネットワーク / 構造物性相関 |
Research Abstract |
量子化学計算プログラムパッケージとして市販されているMOPAC93 Rev.2およびGaussian98を用いて、臭素系ダイオキシン類の分子構造最適化を行なった。最適化された分子構造に基づいて、256種類の置換位置異性体が存在する一臭素化ポリ塩素化ジベンゾ-p-ダイオキシン(1BrPCDD)と、512種類の置換位置異性体が存在する一臭素化ポリ塩素化ジベンゾフラン(1BrPCDF)の分子可能接触表面積(SAS)、塩素置換基上の電荷総和(QCl)、臭素置換基上の電荷総和(QBr)等の分子構造指標を導出することに成功した。さらに、Chemish ver.3.55を用いて分子構造指標とキャピラリーガスクロマトグラフカラム保持時間(c-GCRT)との相関解析、その予測を行なった。予測方法としては、主成分回帰分析(PCR)、ニューラルネットワーク(CNNs)を用いた。予測指標は上記の分子構造指標を主に使用し、学習データとして、既に調査済みのポリ塩素化ジベンゾ-p-ダイオキシン(PCDD)およびポリ塩素化ジベンゾフラン(PCDF)の同族体・塩素置換位置異性体のc-GCRTを用いた。 PCDDとPCDFのc-GCRTと分子構造指標との相関解析から、二つのCl置換基がプロキシミティブ位置にある場合、その数に依存してc-GCRTが増加することが分かった。また、1-、9-位がともに置換されたPCDFでは、この増加がより顕著であることが分かった。次に、これらの学習データに基づいて、各予測方法により構築された予測モデルからc-GCRTを算出することに成功した。臭素系ダイオキシン類のc-GCRT実測値がほとんど明らかになっていないため、予測精度を検討することが出来なかったが、未知の臭素系ダイオキシン類の分析および性状評価に、予測モデルは有益な情報を提供できることが示唆された。
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