2002 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイによる遺伝子発現パターンを指標とした環境影響モニタリング手法の開発
Project/Area Number |
14780432
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
玉置 雅紀 独立行政法人国立環境研究所, 生物多様性研究プロジェクト, 主任研究員 (00311324)
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Keywords | シロイヌナズナ / オゾン / マクロアレイ / ESTクローン / 各種ストレス / サブセットマクロアレイ |
Research Abstract |
植物は異なる環境変化に晒された場合に異なる遺伝子を発現することが知られている。本研究はこの性質を利用して、異なる環境影響を受けている植物での遺伝子発現パターンをDNAマイクロアレイ法により比較し、そのパターンの違いから植物に影響を及ぼす環境要因を事前に特定することができるモニタリング手法の開発を目的とする。 平成14年度は先ず、シロイヌナズナに、0.2ppmのオゾンを12時間暴露したものからmRNAを単離し、同時に非オゾン暴露の植物からもmRNAを単離した。これらのmRNAを用いてシロイヌナズナの全遺伝子の約40%に相当する12000個のESTクローンを載せたマクロアレイのスクリーニングを行なった。その結果、オゾンにより発現が上昇する遺伝子(185種類)、発現が減少する遺伝子(60種類)を単離することができた。次に今回単離した245種類のESTクローンを用いて小規模なサブセットマクロアレイを作製した。このサブセットマクロアレイにより他のストレス(乾燥、塩ストレス、酸性雨、UV-B、高温、低温)に晒した植物から単離したmRNAを用いた場合のマクロアレイハイブリパターンの検証を行なった。その結果、今回作製したサブセットマクロアレイにより全てのストレスを区別することができることが明らかになった。また、それぞれのストレスにおける遺伝子発現パターンをクラスター解析により分類したところ、オゾンとUV-Bは比較的似た遺伝子発現パターンを示し、また、乾燥、塩ストレス、低温、高温もそれぞれ同じクラスターに分類されたが、酸性雨はこれらとの類似度は低かった。 今後はさらに用いる遺伝子の数を絞って、それぞれのストレスを区別するのに必要最小限な数の遺伝子を載せたミニマイクロ(マクロ)アレイを作成する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Masanori Tamaoki, et al.: "Differential ozone sensitivity among Arabidopsis accessions and its relevance to ethylene synthesis"Planta. 216. 552-560 (2003)
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[Publications] Masanori Tamaoki, et al.: "Light-controlled expression of a gene encoding L-galactono-γ-lactone dehydrogenase gene which affect ascorbate pool size in Arabidopsis thaliana"Plant Science. (In press). (2003)
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[Publications] Takashi Matsuyama, et al.: "cDNA microarray assessment for ozone-stressed Arabidopsis thaliana"Environmental Pollution. 117. 191-194 (2002)
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[Publications] Takashi Kato, et al.: "Expression of genes encoding late nodulins characterized by a putative signal peptide and conserved cysteine residues is reduced in ineffective pea nodules"Molecular Plant Microbe Interaction. 15. 129-137 (2002)
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[Publications] Nobuyoshi Nakajama: "Improvement in ozone tolerance of tobacco plants with an antisense DNA for 1-aminocyclopropane-1-carboxylase synthase"Plant Cell Environment. 25. 727-735 (2002)