2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレオチド除去修復過程におけるクロマチン構造変化制御機構の解明
Project/Area Number |
14780434
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
安田 武嗣 理化学研究所, 細胞生理学研究室, 基礎科学特別研究員 (60332269)
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Keywords | XPC-HR23B / ヌクレオソーム / ヌクレオチド除去修復 / DNA損傷結合 / 非特異的DNA結合 / 抑制 / 損傷認識 / 特異性 |
Research Abstract |
XPC-HR23Bタンパク質複合体は、紫外線照射によって生じる(6-4)光産物をはじめとする種々のDNA損傷に対して特異的に結合するが、非損傷DNAに対しても比較的強い非特異的結合を示す。そのため、部位特異的な(6-4)光産物を含む裸のDNA断片に対するXPC-HR23Bの結合をゲルシフト法で検出する際、大過剰の裸のDNAを添加するとXPC-HR23Bの(6-4)光産物に対する特異的結合が競合的に阻害される。細胞内で巨大なゲノムDNA上に生じた少数のDNA損傷を認識する上で、この程度の特異性は必ずしも十分であるとは言い難い。一方、実際の真核生物の細胞内では、DNAはヌクレオソーム構造をとっている。そこで、XPC-HR23Bの損傷認識に対するヌクレオソーム構造の影響を解析した。試験管内でヌクレオソームを再構成しcompetitorとして添加した結果、裸のDNAと比較してヌクレオソーム構造をとったDNAではXPC-HR23Bの損傷結合に対する阻害効果が減少ており、ヌクレオソーム構造がXPC-HR23Bの非特異的DNA結合を抑制することが明らかになった。(6-4)光産物を含むDNA断片にヌクレオソーム構造をとらせた場合、XPC-HR23Bの特異的結合は依然見られるものの、裸の損傷DNAと比較すると親和性が低下していた。試験管内のヌクレオチド除去修復では、ヌクレオソーム構造が修復に阻害的な影響を示すことがすでに報告されている。しかしながら、我々の結果より、DNAがすべて裸の状態であるよりも、DNAの非損傷部位がヌクレオソーム構造をとっていることは、むしろXPC-HR23Bの損傷認識の特異性を高めるのに重要な役割を果たしていると考えられた。さらに、XPC-HR23Bが効率的に損傷部位に結合するためには、損傷部位周辺のヌクレオソームがいったん裸の状態になることが必要であると考えられた。
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