2002 Fiscal Year Annual Research Report
パイオニア植物が撹乱跡地に侵入・定着する際の共生菌類の役割の解明
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14780437
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
橋本 靖 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (40332481)
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Keywords | 共生菌 / 菌根 / 攪乱跡地 / オノエヤナギ / ケショウヤナギ / パイオニア植物 / 河原 |
Research Abstract |
パイオニア植物が撹乱跡地に侵入・定着する際の共生菌類の役割を明らかにするため、今回は、河川の流量変化によって頻繁に攪乱が起こる河原と、そこに定着するヤナギを対象に攪乱とパイオニア植物の定着と根系共生菌の関係を調べた。調査地は北海道の札内川河畔とし、乾燥した石礫地に主に生育するケショウヤナギと、湿った砂地にも生育するオノエヤナギの、外生菌根とアーバスキュラー菌根の定着を、攪乱の状態の異なる5カ所について調べ、菌根の定着と宿主生育地の特性との関係を検討した。その結果、全ての調査地において、ケショウヤナギ、オノエヤナギともに、外生菌根の形成が主に見られ、一般に攪乱初期に多いと言われるアーバスキュラー菌根の形成はきわめて少なかった。また、ケショウヤナギ実生では、川に近い湿った場所に比べ乾いた場所で、より多くの外生菌根の形成がみられた。一方、オノエヤナギは湿った条件と乾燥した条件の両方で、同程度の外生菌根の形成がみられた。また、どの条件の場所でも、3つの外生菌根形態タイプが優占して出現し、外生菌根菌の多様性は低いと考えられた。以上から、河畔環境に適応した外生菌根菌が、これら2種のヤナギの定着時に影響を及ぼしていると考えられ、ケショウヤナギとオノエヤナギの生育適地の違いの原因の1つである可能性が示された。また、今回対象の一つとしたケショウヤナギは、日本では北海道十勝川流域と本州の上高地のみに局所的に分布する特異な植物で、絶滅が危倶されている種である。本研究の成果が本植物の保護にも役立つ情報を提供していると考えられる。
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