2003 Fiscal Year Annual Research Report
雑草を利用した環境修復技術の実用化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14780446
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中山 祐一郎 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (50322368)
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Keywords | 環境修復 / 雑草 |
Research Abstract |
雑草性を有する野生植物を用いた環境修復技術の実用化に向けた基礎研究として,以下の項目を実施した。 1)水辺の植物群落の復元などにおいて自然修復措置の素材として注目されている水生雑草であるミクリ属植物について,実際の保全方法を策定する上で必要となる遺伝的多様性,特に小集団内の遺伝的な構造を,AFLP分析により明らかにした。ミクリでは,地域や水系の異なる集団にはそれぞれ固有の遺伝子型が存在していたが,滋賀県の2集団では,それぞれ単一の遺伝子型しか検出されなかったことから,クローン繁殖によって集団が維持されていると考えられた。ヒメミクリの2集団内にはそれぞれ複数の遺伝子型がみられ,集団内の遺伝子型は非常に類似していたが。異なる集団に属する遺伝子型間の遺伝距離は大きく,近接した集団間にも明瞭な遺伝的な分化が認められ,2集団の遺伝的多様性の違いは生育地の流水状態に起因するものと考えられた。これらの結果から,遺伝的多様性の保全と修復法について考察した。この成果は,平成16年4月に開催される日本雑草学会第43回大会において発表する。 2)荒廃地における環境改善や環境修復能を有する植物の探索を目的として,産業廃棄物処分地に出現した植生を定量的に調査した。また,10種類の野生植物を移植栽培し,その生育を観察した。24科103種の高等植物が観察され,帰化率は59%であった。2003年秋期の植生は一年生草本を主体とするものであったが,撹乱強度や土地利用の違いによって種の構成や優占度が異なっていた。平坦面では一年生イネ科草本が優占し,次いでセイバンモロコシの優占度が高かった。周囲ではセイバンモロコシやクズ,ヨモギ等の多年生草本が優占した。移植した植物ではその多くが定着したが,生長は悪かった。これらの結果から,この処分地における今後の植生の推移と維持・管理の方向性について考察した。
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