2002 Fiscal Year Annual Research Report
複数のジスルフィド結合を含む組換タンパク質の高効率巻き戻し系の確立と立体構造解析
Project/Area Number |
14780470
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 宏次 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助手 (30280788)
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Keywords | オリクチン / 前胸腺刺激ホルモン / 酸化的巻き戻し / ジスルフィド結合形成 / 組換タンパク質発現 / 立体構造解析 |
Research Abstract |
3個のジスルフィドを含むオリクチン(昆虫由来の抗菌ペプチド)、および、7個のジスルフィドを含むPTTH(昆虫の前胸腺刺激ホルモン)について、組換タンパク質の発現と酸化的巻き戻し実験を行った。 オリクチンは、大腸菌BL21(DE3)Star(Invitrogen)を宿主とし、T7プロモータを用いて生産した。精製を簡単にするため、N末端にHis_6-タグを付加した。目的タンパク質は可溶性タンパク質として発現した。可溶画分を25度、12時間の空気酸化の後、Ni-NTAカラムに供し、His_6-オリクチンを精製した。TEVプロテアーゼでHis_6-タグを切断し、Resource Sカラムに供することで精製オリクチンを得た。^<13>C,^<15>N-標識オリクチンを上記の方法で調製し、3核3次元核磁気共鳴(NMR)スペクトルの測定、解析を行った結果、オリクチンの2次構造は、2本のαヘリックスと4本のβストランドからなることが示された。現在、3次構造を計算中であり、平成15年4月日本農芸化学会で発表する予定である。オリクチンに類似のアミノ酸配列をもつタンパク質の高次構造はまだ報告されておらず、本成果がオリクチンの抗菌活性の発現機構解析に役立つと期待している。 PTTHは、通常の大腸菌BL21(DE3)Star(Invitrogen)に加え、細胞内でのジスルフィド形成が可能な大腸菌変異株Rosetta-gami(DE3)(Novagen)も宿主として生産を試みたが、あらゆる条件で不溶性の封入体を形成した。現在、封入体からの試験管内酸化的巻き戻しの条件を最適化している。また、カイコ幼虫を宿主とするバキュロウィルス発現系を用いるPTTH生産も開始した。この発現系では、カイコ体内で酸化的巻き戻しが正常に行われるため、この系を用いて組換PTTHを大量生産し、結晶化、X線結晶構造解析を進める予定である。
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