2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゲンジボタル・ルシフェラーゼの発光反応中間状態構造の高分解能X線結晶構造解析
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14780483
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中津 亨 理化学研究所, 速度論的結晶学研究チーム, 連携研究員 (50293949)
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Keywords | ルシフェラーゼ / 生物発光 / X線結晶構造解析 / 中間体アナログ / ルシフェリン |
Research Abstract |
ホタルのルシフェラーゼによる発光反応は発光基質であるルシフェリンがMgATPにより活性化され、Luciferyl AMP中間体を酵素中でいったん形成する。そこへ酸素が攻撃することにより、AMPが放出され、生成したオキシルシフェリンが励起状態から基底状態に移るときに発光が生じると考えられている。この発光反応を明らかにするときに鍵となるのは、いかにしてLuciferyl AMP中間体が生成され、どのような状態で存在しているかということである。そこでLuciferyl AMP中間体のアナログであるDehydroluciferyl AMPを合成し、本酵素との複合体結晶の結晶化を試みた。しかし、これまで他の複合体の際、得られてきた結晶化条件では良好な結晶は得られなかった。 そこでリン酸部分をスルファモイル基に変更したSulfamoyl Adenosyl Dehydroluciferin (SLU)を新しく合成し、結晶化に用いた。ルシフェラーゼとSLUとをあらかじめ反応させておき、このサンプルを用いて結晶化を行った。結晶化はPEG4000を沈殿剤として用い、ハンギングドロップ蒸気拡散法により行った。X線回折強度データの収集は大型放射光施設SPring-8のビームラインBL45PXにおいて行い、1.3Å分解能の回折強度データが得られた。得られた回折強度データを用いてプログラムARP/wARPおよびREFMAC5により構造解析を行った結果、SLUを示す良好な電子密度図が得られた。 活性部位近傍についてルシフェラーゼ:生成物複合体の立体構造と比較したところ、α-リン酸の部分は約0.7Å移動していた。この移動に連動してルシフェラーゼのHis247がわずかに移動していることが観測された。しかしその他のアデニン、リボースおよびルシフェリンの部分においてはそれほど位置のずれは観測されなかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamauchi, E., Nakatsu, T., Matsubara, M., Koto, H., Taniguchi H.: "Crystal structure of MARCKS calmodulin-binding domain peptide complexed with Ca^<2+> Calmodulin"Nature Structural Biology. (In press). (2003)
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[Publications] Shimizu, T., Nakatsu, T., Miyairi, K., Okuno, T., Kato, H.: "Active-Site Architecture of Endopolygalacturonase I from Stereum purpureum Revealed by Crystal Structures in Native and Ligand-Bound Forms at Atomic Resolution"Biochemistry. 41. 6651-6659 (2002)
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[Publications] Irie, K., Nakatsu, T., Mitsuoka, K., et al.: "Crystal Structure of the Homer 1 Family Conserved Region Reveals the Interaction Between the EVH1 Domain and Own Proline-rich Motif"Journal of Molecular Biology. 318. 1117-1126 (2002)