2002 Fiscal Year Annual Research Report
カゼインキナーゼIによるWntシグナル伝達調節の分子機構の解析
Project/Area Number |
14780492
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岸田 想子 広島大学, 医学部, 教務員 (40274089)
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Keywords | Wnt / カゼインキナーゼ / リン酸化 / TRIM3 |
Research Abstract |
Wntのシグナルは細胞膜上のFrizzled/LRP受容体複合体からDvl、GSK-3β、APC、β-カテニン、Tcfへと伝えられ,標的遺伝子の発現を介して細胞の分化や増殖,初期発生における器官形成や体軸形成を制御する。CKI(カゼインキナーゼI)は線虫での解析からWntシグナル伝達経路を促進することが明らかとなった。これまでに私共は、CKIがWnt-3aにより活性化されDvlをリン酸化することや、CKIがAPCやAxin、β-カテニンをリン酸化することを明らかにした。さらに、DvlとCKIは、直接結合して細胞内β-カテニンの蓄積やTcfの転写活性化を促進することやアフリカツメガエル初期胚での体軸形成を相乗的に促進することも見出した。 本研究では,Wntシグナル伝達経路でのCKIの役割を分子レベルで明らかにするために、酵母two-hybrid法を用いてCKIと結合する蛋白質の検索を行い,いくつかの候補を見出した。その中の一つ、TRIM3はRINGドメイン、B-boxドメイン、Coiled-Coilドメイン、NHLリピートをもち、心臓や脳、肝臓、膵臓で豊富に発現する蛋白質である。COS細胞にTRIM3とCKIを共発現すると両者は複合体を形成した。TRIM3は、ミオシンVと結合することやPC12細胞においてNGF依存性の神経突起伸張に関与することが知られている。しかし、TRIM3を培養細胞やツメガエル初期胚に単独で導入しても、細胞内β-カテニンの蓄積やツメガエル初期胚での体軸形成は促進されなかった。今後はTRIM3がCKIの活性を変化させるか否かを検討し、TRIM3を介したCKIのシグナル伝達機構を解明するためにtwo-hybrid法を用いて、TRIM3結合蛋白質の検索を行なっていく予定である。
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