2003 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質内部に存在するすき間の進化的保存性と機能的役割
Project/Area Number |
14780508
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 健一 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 助教授 (20322737)
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Keywords | タンパク質 / 構造機能相関 / すき間 / 進化的保存性 / タンパク質ファミリー / ダイナミクス / 構造変化 / 機能部位 |
Research Abstract |
タンパク質の示す機能はタンパク質がとる特異的な立体構造や運動性により担われているが、両者の関係はまだ不明な点が多い。本研究課題では、運動性に関係があると思われるタンパク質内部のすき間と、蛋白質の機能の間に強い結びつきがあるのかどうかを明らかとする目的で、多くのタンパク質ファミリーそれぞれについて、1)そもそも共通なすき間が有るか無いか、2)有る場合は共通なすき間と機能部位との位置関係に特徴がないか、3)タンパク質の種類によって違いがないかを解析した。 SCOPのタンパク質ファミリーのうち、質のよい構造データだけに限定した際に複数のメンバーが存在し、メンバー間の配列一致度が30%以上90%未満であるファミリー(118個)を解析対象とした。保存したすき間の見られたものは76ファミリー(64%)存在した。SwissProtから、23ファミリーについて活性部位の情報を得ることができ、その中で活性部位の近くに保存したすき間が存在するのは4ファミリーのみであった。ファミリーを酵素か非酵素かで分類すると、すき間の保存性のある(ない)ファミリーのうち、酵素ファミリーは59%(33%)であった。また、酵素(非酵素)ファミリーのうちすき間の保存性が見られるものは、76%(53%)であった。保存したすき間の見られなかったタンパク質ファミリーについて、すき間の全くないことが保存されている例はなかった。 以上、多くのタンパク質ファミリーにおいて保存したすき間があることを初めて明らかとした。特に、酵素ファミリーに保存したすき間がやや多い傾向がみられた。保存したすき間には何らかの機能的な意味があると考えられるが、活性部位の近くに保存したすき間があるケースは小数であり、機能との関係はまだ不明確である。その解明のために、今後、タンパク質のダイナミクスと保存したすき間との関係を解析していく予定である。
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