2002 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansをモデル動物としたp38MAPKカスケードの解析
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14780521
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久本 直毅 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80283456)
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Keywords | C.elegans / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
本年度は、線虫p38MAPKカスケードの役割について、カスケードの因子のひとつであるSEK-1(MAPKK)を材料に、主に運動制御の観点から解析した。sek-1変異株はプレート上で弱い運動異常を示すことから、p38 MAPK カスケードの運動制御への関与が疑われていたが、表現型が弱いため解析が難しかった。そこで、逆にSEK-1の活性化型を神経特異的に発現させて、p38 MAPK カスケードがどのような機能をもつか調べた。その結果、SEK-1の活性化型の発現により、線虫が強い運動異常を示すことが判明した。表現型の詳細な解析から、この運動異常は運動ニューロンを制御するニューロンか、運動ニューロンそのものの異常によると考えられた。sek-1の神経系での発現をgfpを用いて詳細に調べたところ、運動ニューロンを制御するニューロンでは発現しているが、運動ニューロンそのものでは発現していないことが判明した。さらに、SEK-1の活性化型を運動ニューロン特異的に発現させてみても、線虫は運動異常を示さなかった。このことから、SEK-1の活性化型を発現させることによって生ずる運動異常は、運動ニューロンを制御するニューロンの異常により生じることが示唆された。 さらに、運動ニューロンを制御するニューロンでのsek-1のカスケードの下流因子を同定する目的で、sek-1の活性化型による運動異常を抑圧する変異の単離を試みたところ、5つめサプレッサー変異が同定された。これらの因子については、今後遺伝子を同定してゆくと同時に、表現型の詳細な解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kim, DH.: "A Conserved p38 MAP Kinase Pathway in Caenorhabditis elegans Innate Immunity"Science. 297(5581). 623-626 (2002)
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[Publications] Tanaka-Hino, M: "SEK-1 MAPKK mediates Ca^<2+> signaling to determine neuronal asymmetric development in Caenorhabditis elegans"EMBO Reports. 3(1). 56-62 (2002)