2002 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母の細胞極性形成と維持に関わる分子機構の解析
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14780537
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鎌田 このみ 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (80312354)
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Keywords | 細胞極性 / 細胞骨格 / アクチン / ミオシン / シャペロン / 出芽酵母 |
Research Abstract |
本研究では、出芽酵母を用いて細胞極性形成の分子機構を解析している。特に、細胞極性形成過程で重要な役割を果たす、アクチン細胞骨格系の再編成において中心的役者の一つであるタイプI型ミオシンに着目して研究を行っている。これまでに、私はタイプI型ミオシンのモーター領域と結合する新しい因子としてShe4タンパク質を見出していた。平成14年度の研究では、まず最初に、She4タンパク質の役割について以下のことを明らかにした。1)She4タンパク質はタイプI型ミオシンのモーター領域と結合するために、他の生物種にも存在するタンパク質と相同性の高いC末端側のUCSドメインが必要である。2)She4タンパク質はタイプI型ミオシンだけでなく、他のタイプのミオシン(タイプII型及びV型)とも結合できる。3)She4タンパク質は、タイプI型ミオシンのモーター領域とアクチンフィラメントの結合に対して正に作用している。4)She4タンパク質を欠失した細胞では、タイプI型ミオシンが正常に局在できなくなる。 これらの結果より、She4タンパク質は出芽酵母においてタイプI型ミオシンの機能になんらかの作用をしているものと推測された。次に、SHE4とタイプI型ミオシンとの遺伝学的相互作用について検討した。She4タンパク質を欠失した細胞は、アクチン細胞骨格系の極性異常となり、高温で生育できなくなる(高温感受性)が、この高温感受性を抑圧するタイプI型ミオシンの突然変異を取得することに成功した。このことより、She4タンパク質がタイプI型ミオシンの機能に関与していることを遺伝学的にも証明することができた。最近、She4タンパク質と相同性のある線虫のタンパク質、unc-45、がミオシンのシャペロンである可能性が報告されたことも考慮し、She4タンパク質が出芽酵母のタイプI型ミオシンのシャペロンとして機能している可能性が高いと考えられた。(Toi et al.,2003 in press)
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 三栖 賢次郎: "Cdc5Op, a conserved endosomal membrane protein, controls polarized growth in Saccharomyces cerevisiae"Molecular Biology of the Cell. 14. 730-747 (2003)
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[Publications] 川崎 亮輔: "The upstream regulator, Rsr1p, and downstream effectors, Gic1p and Gic2p, of the Cdc42p small Gtpase coordinately regulate initiation of budding in Saccharomyces cerevisiae"Genes to Cells. 8. 235-250 (2003)
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[Publications] 戸井 博史: "She4p/Dim1p interacts with the motor domain of unconventional myosins in the budding yeast, Saccharomyces cerevisiae"Molecular Biology of the Cell. (印刷中). (2003)