2003 Fiscal Year Annual Research Report
モーター分子によって励起されたマイクロフィラメントのコヒーレンス
Project/Area Number |
14780541
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
羽鳥 晋由 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (00283036)
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Keywords | アクチン / ミオシン / 筋肉 / 分子間相互作用 / 細胞骨格 / 化学力学エネルギー変換 / ATP加水分解 / 分子モーター |
Research Abstract |
マイクロフィラメント(アクチン繊維)がモーター分子(ミオシン)によって励起されたとき、そこに発生するゆらぎのコヒーレンス特性を明らかにすることを目的とした。アクチン繊維をスポット状に標識した後、その輝度分布をもとにガウス曲線で補間することでその座標を決定し、高精度のゆらぎ測定を可能にした。 1.アクチン繊維に発生するゆらぎのATP濃度依存性 ATP濃度の増加に伴ってミオシン分子上のアクチン繊維の滑り速度は一様に増加したが、その速度変動(ゆらぎ)は100μM ATP濃度で最大となった。その濃度より低いとき、繊維各部分の動きは独立であったが、それより高い濃度では同期していた。ATP濃度の変化に応じたゆらぎの局所的増大は、2つの異なる力学的なゆがみ(アクチン繊維内に発生する収縮または伸長)の境界での臨界現象に関係していると考えられる。一方で、ATPと共に非加水分解性のAMP-PNPを加えることによって弱い結合の頻度を上げたとき、滑り速度が増加した。このことは、弱い結合が介在することで繊維のコヒーレンスが高まり、繊維全体の運動を速めたことを示している。 2.車軸藻ミオシン上でのアクチン繊維のゆらぎ 車軸藻ミオシン上でアクチン繊維は骨格筋ミオシン上に比べて10倍速く運動する。このような高速運動に特有な運動モードを見出した。アクチン繊維の運動ゆらぎを進行要素とその横要素に分けて測定したとき、進行方向のゆらぎが大きいことがわかった。実際にATP濃度の増加に伴って進行方向のゆらぎが増加した。ところが横方向のゆらぎはその濃度にほとんど依存しなかった。加えて、速度の増加と共に進行方向のゆらぎは徐々に増加した。このことは、骨格筋ミオシンの場合とはまったく異なり、車軸藻ミオシンの場合に特有のものであった。アクチン繊維のゆらぎが車軸藻ミオシンによって著しく進行方向に強められることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hatori, K., Okeno, Y., Honda, H., Shimada, K., Matsuno, K.: "Enhancing the staggered fluctuations of an actin filament sliding on Chara myosin"Biophysical Chemistry. (in press). (2004)
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[Publications] Hatori, K., Sakamaki, J., Honda, H., Shimada, K., Matsuno, K.: "Transition from contractile to protractile distortions occurring along an actin filament sliding on myosin molecules"Biophysical Chemistry. 107. 283-288 (2004)
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[Publications] Sakamaki, J., Honda, H., Imai, E., Hatori, K., Simada, K., Matsuno, K.: "Enhancement of the sliding velocity of actin filaments in the presence of ATP analogue : AMP-PNP"Biophysical Chemistry. 105. 59-66 (2003)