2002 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病脳における異常タウと神経細胞死の解明
Project/Area Number |
14780575
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮坂 知宏 理化学研究所, アルツハイマー病研究チーム, 研究員 (90342857)
|
Keywords | タウ / 神経原線維変化 / 神経細胞死 / アルツハイマー病 / PHF |
Research Abstract |
本研究の中心的議題は、異常リン酸化、線維形成等のタウタンパク異常と神経変性、さらには痴呆との関連を見出すことである。この点について解析するためにはリン酸化タウ、線維化されたタウの細胞障害性の検討が必要である。はじめにアルツハイマー脳より、PHFの精製を試みた。Greenbergらの方法に従い、サルコシル不溶性画分を調製し、さらにショ糖密度勾配超遠心法により、PHF画分を得た。この画分について、ウエスタンブロット、電子顕微鏡を用いて解析したところPHFが回収されていることを確認した。また、我々が作製したFTDP-17変異型タウ(R406W)を発現するマウスについても同様に画分を調製した結果、線維化したタウが回収されていることを確認した。In vivoから得られるタウ線維は非常に収量が少なく、また線維状態での高純度な精製は困難である。これに対し、精製リコンビナントタウを用いた線維形成では、不純物の混入は少ない。そこでリコンビナントタウの精製と、それを用いたタウの線維形成について検討した。タウを大腸菌BL21(DE3)株に発現させHasegawaらの方法に従い精製した。その結果、95%以上の純度でリコンビナントタウを得た。リコンビナントタウはヘパリンなどのポリアニオンとともにインキュベートすると線維化することが知られている。そこで精製タウをヘパリン存在下でインキュベートし系時的に観察すると、11時間後までは顆粒状構造物のみの形成が認められ、21時間以後線維状の構造物が形成されることを確認した。現在、これらin vitroで形成されたタウ線維と、アルツハイマー脳より精製したタウ繊維との構造上、生化学上の相違について、原子間力顕微鏡、および種々の生化学的手法を用いて検討し、あわせて培養神経細胞への導入法についての検討もしたい。
|
Research Products
(1 results)